三井住友信託銀行、不二製油に対して、国連「UNEP FI」のポジティブインパクト金融原則に基づく融資提供。同原則に基づくファイナンスとしては第一号(RIEF)
2019-03-28 17:51:34
三井住友信託銀行は、国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)が国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成のために定めた「ポジティブインパクト金融原則」に基づく融資を、食品・製油業の不二製油グループに供給した。同社がパーム油等の原料調達で環境・人権等に配慮した「サステナブル調達」を実践しているほか、生産活動での環境負荷低減、食の安全・安心・品質の向上等に務めている点を評価、同社の取り組みを融資で支援する。
同原則に基づく融資としては第一号になる。ただ、融資額は公表されていない。同融資は資金使途を特定せず事業会社向けに融資される。
UNEP FIのポジティブインパクト原則は、2017年1月に制定されたもので、SDGsの達成を金融面から支援する枠組み。企業によるSDGsの達成への貢献を主要業績指標(KPI)で開示し、金融機関はその開示内容からプラスの評価をして資金を提供する。企業のプラスの影響を高め、マイナス影響を低減する努力を後押しする狙いがある。
不二製油グループは、事業活動に油脂や製菓・製パン素材、大豆等の事業を抱えている。これらの原料となるパーム油やカカオ、大豆などの調達に際して、産地の途上国市場において、持続可能な調達を積極的に展開していることで知られる。
特にSDGsの目標では「サステナブル調達(SDGs目標12、14、15)」「生産活動における環境負荷(同8、11、12、13)」「食の創造によるソリューション提供と食の安全・安心・品質(同1、2、3、9)」の3つをテーマとして、具体的な取り組み活動を進めている。
同社の活動が原則に準拠しているかどうか、設定したKPIが妥当かどうか等については日本格付研究所が第三者評価を付与している。
ポジティブインパクト金融原則は、定義、枠組み、透明性、評価の4つの原則からなる。①の「定義」は、ESG側面のいずれかで潜在的なマイナスの影響が適切に特定・緩和され、かつ少なくともESGの一つの面でプラス貢献をもたらすことが求められる。
②は取り組む金融機関の「枠組み」の整備を求めている。単に署名するだけの宣言・原則とは別に、投融資先のポジティブインパクトを判断するための一定のプロセス、基準、方法等を設定する。インパクトの適格性判断にはESGリスク管理プロセスを適用する。
③の「透明性」も金融機関に求められる。ポジティブインパクトとして金融機関が資金調達した活動や、投融資先の事業主体が達成したインパクト等についても定期的に報告することが奨励される。④の「評価」は、ポジティブインパクト金融の評価を内部監査あるいは、第三者による外部評価等で行えるとしている。