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山口県「西沖の山石炭火力発電所」計画のIGCC(石炭ガス複合発電)転換案への融資の可否で、3メガバンクが環境NGOの質問書に回答(RIEF)

2019-07-30 12:53:43

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 環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は、電源開発と宇部興産が計画する山口県西沖の山発電所事業で、当初想定していた石炭火力発電による建設を、酸素吹石炭ガス複合発電(IGCC)に変更することを検討していることを受け、同事業への融資を担当する3メガバンクへの質問状の回答内容を公開した。それによると、三菱UFJフィナンシャル・グループはIGCCを自行の石炭ポリシーで「先進的高効率発電技術」として認めたが、他の2グループは明確な判断を避けた。

 

 (写真は、事業主体の宇部興産本社)

 

 KIKOの質問状は6月に3メガバンクに送付された。山口・宇部市での西沖の山発電所計画は、当初石炭火力発電事業としていた。だが、石炭火力事業への反対・懸念などから、大阪ガスが事業から撤退。その後、共同出資者の電源開発と宇部興産は発電所を一般的な石炭火力からIGCCとし、金融機関からの融資もコーポレートファイナンスに切り替える考えにしたとの観測が出ている。

 

 KIKOの質問状では、IGCCの実用可能性についての金融機関としての判断を求めたほか、3メガバンクがそれぞれ設定している石炭ポリシーにおけるIGCCの位置づけ、融資使途が明らかなプロジェクトファイナンスではなく、コーポレートファイナンスでの資金供給の可能等について問う形とした。

 

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 7月上旬までに回答は返ってきた。3メガのうち、みずほと三井住友両グループは「回答は差し控える」。みずほは、「融資に際してはエクエーター原則を遵守する」と付記し、三井住友は「石炭火力への新規融資は超々臨界圧火力及びそれ以上の高効率の案件に限定する」とした。

 

 一方、三菱UFJは、「IGCCはCCSなどと並ぶ、先進的高効率発電技術の一つと認識している」と質問の一部に回答した。IGCCも新規融資原則禁止の同グループの石炭ポリシーの対象になるか、との質問には「採用技術による区分は特段、設けていない。OECD公的輸出信用アレンジメントなどを参照し、他の実行可能な代替技術等を個別に検討し、ファイナンスに取り組むことがある」とした。

 

 プロジェクトファイナンスではなく、コーポレートファナンスでの融資依頼への対応については、「赤道原則の適用可否にかかわらず、『環境社会ポリシーフレームワーク』に従って判断する」と述べた。

https://www.kikonet.org/nfo/press-release/2019-07-17/replies-from-mega-banks

http://www.city.ube.yamaguchi.jp/machizukuri/kankyouhozen/seikatsukankyou/assessment.html