HOME11.CSR |世界の核兵器製造会社への投融資 日本の金融機関は3メガバンクはじめ8機関で合計256億㌦(約2.8兆)、前年度比37%増と急増。オランダのNGOが調査結果を公表(各紙) |

世界の核兵器製造会社への投融資 日本の金融機関は3メガバンクはじめ8機関で合計256億㌦(約2.8兆)、前年度比37%増と急増。オランダのNGOが調査結果を公表(各紙)

2019-09-24 11:43:13

PAX2キャプチャ

 

   各紙の報道によると、「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)運営団体の一つ、オランダのNGOのPAXによると、世界の主要な核兵器製造企業に対する金融機関の投融資状況を公表。その結果、日本の金融機関は3メガバンクなど8行が含まれることがわかった。

 

 (写真は、調査を実施したPAXのスージー・スナイダー氏)

 

 東京新聞が伝えた。PAXの担当者は、当該金融機関に対して、投融資をすぐに中止するよう求めている。

 

 PAXは、毎年、核弾頭やミサイルの開発・製造・補修工程に関わる企業に対する各国金融機関の投融資状況を企業が公開している年次報告や経済専門のデータベースなどを利用して独自に算出し、2012年から公表している。

PAX3キャプチャ

 今回公表した2019年版(投融資期間17年1~19年1月)報告書によると、核兵器製造企業18社に対し、世界全体で325の金融機関が計7480億㌦(約81兆円)超を提供したという。

 

 このうち日本の金融機関は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)など8機関で、合計256億㌦(約2.8兆円)だった。日本勢の融資は18年版に比べると、金融機関数で1社、金額で約70億㌦(37.6%増)と急増している。

 

 名前のあがった日本の金融機関は、東京新聞の取材に対し、3メガバンクを含む7機関が「個別の取引には回答できない」と答え、1機関は「取引していない」と否定したという。

 

 ある機関は「傘下の子会社が海外で(核兵器製造企業の)株式運用をしている可能性があるが、直接の投融資ではない」と説明したという。さらに、複数機関は、核兵器関連だけでなく航空機やミサイルなど幅広い事業を扱う企業との取引については「線引きするのが難しい」と話したとしている。

 

 こうした日本の金融機関の説明に対し、PAXのスージー・スナイダー核軍縮プログラムマネジャーは今月14日に京都市で行った講演の中で「核兵器製造企業に(一般的な資金使途の名目でも)投融資すれば、核兵器事業に使われないとの担保はない。だから投融資を避けようと言っている」と語った。

 

 核兵器の製造や保有に加え、製造・保有への援助を禁じる核兵器禁止条約は、日本などが参加するクラスター爆弾禁止条約(2010年発効)も参考に制定された。今回指摘された8機関のうち4機関はクラスター爆弾の製造や製造企業への投融資禁止方針を公表している。

 

 スナイダー氏とともに京都市での講演に出席した目加田説子中央大教授(国際政治学)は「先進国ではクラスター製造企業と取引のある金融機関は問題視される」と解説。核兵器製造企業への投融資にも一般預金者が厳しい目を向ける必要性を指摘した。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201909/CK2019092402000121.html