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インドネシア政府、操業15年~20年以上の既存のディーゼル発電、石炭火力等を再生可能エネルギー発電に切り替え目指す。再エネ新設だけでは十分にグリーン化できないため(RIEF)

2020-03-30 08:10:46

indnesia1キャプチャ

 

  インドネシア政府が古いディーゼル発電や石炭火力発電所等を再生可能エネルギー発電設備に置き換える検討に入った。パリ協定の国別温暖化対策貢献(NDCs)のゴールを達成するには、新規の再エネ発電を増やすだけでは十分ではなくため、既存の発電所を再エネに転用することで再エネ比率を引き上げることを目指すという。「移行プロジェクト」の選定につながりそうだ。

 

 ジャカルタポスト紙が報じた。同国政府の「エネルギー鉱物資源省(Energy and Mineral Resources Ministry)」の電力担当局長のRida Mulyana氏によると、すでに今年の初めから検討作業を開始している。個々の発電サイトでの再エネ化の可能性を調査するだけでなく、それぞれの地域での経済発展も見極めているという。作業の実務は国有電力のPLNが担っている。

 

 同省のデータによると、インドネシアには現在、操業15年以上が経過しているディーゼル発電プラントは全土に2246カ所ある。そのうちの16.2%はアチェ州に点在している。総発電量は1778MW。操業一方、20年以上経過の石炭火力発電所は23カ所にある。総発電量5655MW。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインド―サイクル発電(PLGU)は46件で、5912MW。これらの化石燃料発電設備の再エネ化がターゲットになる。

 

 同国はパリ協定で2025年までに再エネ発電を発電全体の23%に引き上げる計画を打ち立てている。現行の規制ではこの目標に向けて2019年までの達成目標を17.5%としていた。しかし、実際の再エネ比率は12.36%にとどまっている。太陽光にしろ風力にしろ、新設する場合は土地の取得・賃貸等や現地住民らとの交渉等の手順が必要なほか、既存の電力網への接続交渉も時間がかかる。また化石燃料発電との価格競争も大きなカベだ。

 

 こうしたことから、すでに操業している既存の発電所を再エネ化するほうが、再エネ普及に効果的と判断し始めたわけだ。現時点では、まだ転用できる化石燃料発電サイトの確認と評価の段階だが、同省では「価格競争力のある電力の供給を目指す」としている。

 

 同国で再エネが伸び悩む背景には、政府の伝統的な電力価格政策の影響が大きい。政府はPLNに対して、低所得家族や主要企業向けに電力価格を低く抑えることをEnergy Ministerial Regulation No. 28/2016で義務付けている。Domestic Market Obligation (DMO) 政策と呼ばれる。これを反映し、石炭鉱山は採掘した石炭の4分の1をトン当たり70米㌦で販売しているほか、政府は燃料補助金として約11億8000万㌦を付与している。

 

 再エネは、地域ベースのエネルギーに適しているが、こうした政府の価格政策によって既存の化石燃料発電に十分には太刀打ちできないのが実態だ。今回のディーゼル発電や石炭火力発電の操業年限の長い設備の転換案は、伝統的政策と、再エネ普及の両政策の妥協点となる「移行政策」ともいえそうだ。

https://www.thejakartapost.com/news/2020/03/20/government-studies-plant-to-convert-old-power-plants-into-renewables.html