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北陸電力、AI活用で水力発電の「最適運用システム開発」。豪雨時等のダムへの流入水量の予測精度高め、年間発電量アップにつなげる。JFEエンジニアリングのAIエンジンを活用(RIEF)

2020-06-15 14:35:09

hokuriku001キャプチャ

 

 北陸電力はJFEエンジニアリングと連携、水力発電の運営にAIを利用する「ダム最適運用システム」の共同開発で、ダムへの水の流入量を高精度で予測し、発電電力量の大幅増加が可能になったと発表した。実証実験では、年間発電量が約500万kWh(一般家庭約1600世帯分)増えたという。同社では今後管内の他の水力発電にも応用し、水力発電の効率性を高めるとしている。

 

 水力発電の軸となるダムでは、集中豪雨等の発生によりダムへの流入量が増えて、貯水容量を超えることが予想される場合、ダムからの放流が必要になる。このため、気象条件による流入量の変化を事前に予測することが求められる。北陸電力はこれまで、上流に設置した複数の観測装置等によって流入量予測を立ててきた。

 

 今回、こうした流入量予測の精度を高めるため、JFAエンジニアリングが開発した「AIエンジンWinmuSe」を応用。実証実験を、2019年度に実施した。WinmuSeは、河川流域での洪水被害を防ぐために瞬時に河川水位を予測し、迅速な警報発令を出すことを目指して開発されたAIエンジン。実験は神通川水系上流にある浅井田ダム(岐阜県高山市)で行った。

 

実証実験を行った浅井田ダム
実証実験を行った浅井田ダム

 

 浅井田ダムに関連する過去の降雨量と流入量の実績データを集めてAIに学習させるとともに、これまでの北陸電力の予測ノウハウと融合させながら、予測精度の向上を進めた。その結果、想定通り、流入量の予測精度が従来に比べて大幅に向上した。

 

 その予測結果に基づいて、ダムからの放流の最適化を図ることで、無駄な放流をなくしダム水位を安定化させることができた。これらによって、同ダムだけで、年間約500万kWh の発電電力量が増えたという。

 

 北陸電力では、今回開発した「ダム最適運用システム」を同じ神通川水系全体のダムに応用して、同水系全体の発電量の最大化を目指すとしている。水力発電ダムは生態系への影響問題はあるが、発電中はCO2排出量を出さない自然由来のクリーン電力とみなされる。

 

http://www.rikuden.co.jp/press/attach/20061201.pdf?1591938038