大阪大と北海道・興部町、牛のふん尿からバイオガス発電燃料のメタノールを生産、世界初。5年後めどに量産へ。途上国の非電化地域への展開も可能(RIEF)
2020-07-16 16:40:45
大阪大学は北海道興部(おこっぺ)町は、牛のふんと尿から液体バイオガス燃料のメタノールを製造する実験に成功したと発表した。牛のふん尿を使ったメタノール製造実験の成功は世界に例がないという。今後5年以内をめどに量産化する方針。
オホーツク海に面する興部町は酪農が盛ん。ただ大規模化が進む一方で、大量に発生するふん尿を処理しきれない課題があった。ふん尿が放置されると、悪臭や環境汚染、生乳の品質悪化などの原因になる。そこで両者は昨年7月からふん尿からメタノールを製造する実験を行ってきた。
実験は、常温常圧化でのメタンの酸化反応技術を用いて、メタノール・ギ酸を生産するもの。メタノール製造法は、高温高圧下で水蒸気改質法で製造するのが一般的だが、高コストで大量のCO2排出を伴う課題があった。大阪大の大久保敬教授らは、二酸化塩素を用いてメタンガスから常温・常圧反応でメタノールやギ酸などの有用ケミカルを安価に製造する方法を開発した。CO2も一切排出しない。
開発したメタノールは備蓄燃料として防災拠点で整備するほか、一部は町営バイオガスプラント等で活用して熱供給に利用する。バイオガスプラントは固定価格買取制度(FIT)の適用を受けているが、脱FIT時に自前のメタノール燃料での発電に切り替えることが可能となる。ギ酸も飼料添加剤に利用できる。
大久保阪大教授は「今後、この技術を、全国あるいは世界のモデルケースとして展開させていきたい」と話しており、途上国の非電化地域へのエネルギー供給として展開できる可能性がある。
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