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バイオマス発電の輸入木質ペレットの輸入商社・発電事業者調査。海外生産者に直接確認は1社だけ。供給側の「認証」依存が大半。環境NGOの調査で判明(RIEF)

2020-07-27 15:03:21

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 経済産業省の固定価格買取制度(FIT)の対象であるバイオマス発電向け輸入木質ペレットの「持続可能性」が問われているが、環境NGOの調査によると、国内の輸入商社や発電事業者のうち、海外の生産者に直接確認をしているのは1社だけ、インボイス等の書類上での確認も半数止まりであることがわかった。東南アジア等からの認証付き木質ペレットの輸入では、現地の認証林を大幅に上回る「認証ペレット」が輸入されている疑念も出ている。

 

 調査は、環境NGOのFoE Japan、人間環境フォーラム、バイオマス産業社会ネットワーク、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)、プランテーション・ウオッチの5団体が共同で実施した。

 

 バイオマス発電の原料として海外から木質ペレット等を輸入する総合商社と、それを燃料として利用する発電事業者、合計30社を対象にアンケートを実施した(2019年1-月~11月)。このうち11社から回答を得た。11社のうち木質ペレットを輸入しているのは9社(商社6社、発電事業者3社)。

 

 調査の結果、回答企業のすべてが、輸入木質ペレットの合法性・持続可能性の確認のために、輸入材に付与される「森林認証」を活用していると回答した。そのうち2社は、「森林認証」に加えて、「独自の取り組み」と「団体認証」も活用していると回答した。

 

 活用する森林認証については、FSC(森林管理協議会)、PEFC(森林認証制度相互承認プログラム)。GGL(グリーンゴールドラベル)、AFS(オーストラリア森林基準)等の回答があった。木質ペレットの輸入元で多用されている認証を取得する形となっている。

 

 これらの認証が、実際の輸入ペレットの適正さを証明できるかどうかの確認については、対象企業の1社が、「生産者と面談し、認証取得や原料保管・生産方法などを直接確認している」と回答した。

 

 今年5月には、ベトナム等から輸入される木質ペレットに大量のFSC認証偽装の疑惑が浮上した。ベトナムからの輸入木質ペレットは同地での生産可能枠を約5.5倍も上回って日本と韓国に輸入されていたほか、タイでも他工場の未認証ペレットを認証付きと偽装して輸入している可能性があるとの指摘が出た。https://rief-jp.org/ct4/102720?ctid=72

 

 これらのケースでは、輸入した国内事業者は現地事情を知らず、書類上のチェックも不十分だった可能性がある。

 

 供給事業者が認証付きとしたものでも、実際の輸入品が適正かどうかの確認の必要性がある。アンケートでは輸入品に付与される「インボイスやパッキングリストでFSC認証材であることを確認している」と回答したのは9社中5件だった。またFSCのCoC認証(加工・流通過程の管理認証)を取得していない企業が4社(商社2社、発電事業者2社)あった。

 

 これらの結果から、輸入木質ペレットについて、森林認証を活用しているものの、その合法性・持続可能性の確認作業については、1社を除いて、大半の事業者が追加的な取り組みをしていないことがわかった。回答輸入企業は9社と限定的だが、回答を拒否した企業での確認作業の適正さに不安を残している。

 

 調査を実施した環境NGO5団体は、①森林認証を利用した持続可能性の確認のためには、ガイドラインの強化が必要②回答企業の「森林認証」の中には、第三者認証と呼ぶのにふさわしくないものもある③森林認証では、ライフサイクルにわたるGHG排出削減の確認ができないーー等の課題を指摘している。

 

https://www.foejapan.org/forest/biofuel/200720.html