日本郵船がチャーターした木材チップ運搬船が青森県・八戸港の沖合で座礁、燃料油が流出する事故を起こした。積み荷の木材チップは、三菱製紙が製紙原料として使用するためにタイから輸入したものだった。貨物船はウッドチップ4万4035トンを積みタイから八戸港に向かっていた。三菱製紙によると、ウッドチップは紙の原料で、同社八戸工場で使用する予定だった。
(写真は、座礁後、船体が真っ二つに割れた日本郵船の運搬船)
(注)本記事は、当初、木材チップの使用先としてバイオマス発電原料と記載していたが、その後の取材で、三菱製紙の製紙用原料であることがわかりましたので、修正します。(2021年8月13日午後10時)
日本郵船の発表によると、座礁したのは同社が傭船する木材チップ専用船CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)が8月11日(水)午前7時35分頃、青森県・八戸港外で錨泊中に強風で流され座礁した。乗組員は海上保安部により、全員本船から退避し、無事だった。
座礁後、船体の損傷箇所から、積み荷の木材チップの一部が流出したほか、12日午前04時15分になって、船体が分断し、燃料油の重油が流出した。同社は「流出した油の数量については現在調査中」としている。積んでいた燃料油は重油約1,550MTと軽油約130MT。
第2管区海上保安本部(宮城県塩釜市)によると、12日午後5時時点で重油は長さ約24.3km、幅約800mの範囲で流出し、青森県三沢市沿岸まで達しているという。一方、分断した船体の撤去は長期化も懸念される。
同社は、「海上災害防止センターにより、油処理剤、吸着マットを使用して油濁の防除作業を継続している」としている。また、海岸への油漂着が確認され次第、油回収業者がビーチクリーニングを行う様に準備を行っているとも説明している。
分断した船体は陸から約2.4マイルの沖合に浮かんでおり、海上保安庁が巡視艇、タグボート等を使って、回収に務めているとしている。同船は、全長・全幅 :199.9m・32.2m。総トン数:39,910トン。乗組員21名(中国人、フィリピン人)。船主は洞雲汽船(愛媛県今治市)グループ傘下の船舶保有会社MI―DAS LINE(同・パナマ)、管理会社は美須賀海運(愛媛県四国中央市)。日本郵船が定期用船し運航していた。
日本郵船は、「中期経営計画「Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green」 で「ESGの経営戦略への統合」を加速させるために、木材チップ運搬事業をESG経営の一つとして位置付けている。
https://www.nyk.com/news/2021/esg-story_01.html
https://www.nyk.com/news/2021/20210811_01.html