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日揮グループ、アゼルバイジャンで「グリーン水素・アンモニア」事業のFS調査。経産省「インフラ海外展開事業」で採択。カスピ海西岸地域中心に、再エネ発電から水素製造目指す(RIEF)

2021-09-07 18:16:32

Nikki003キャプチャ

 

 日揮ホールディングスは、カスピ海に面した旧ソ連のアゼルバイジャンで、グリーン水素・アンモニア事業の展開を目指す調査に乗り出す。同国のカスピ海西沿岸地域は、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー発電の適地とされ、同地でのグリーン水素・アンモニア生産を想定した設備・インフラ整備の実現可能性調査(FS)を実施する。アゼルバイジャン政府の国家戦略と、日本政府のインフラシステム海外展開戦略に沿うとの位置づけだ。

 

 FS事業は、グループ傘下の日揮グローバルと日揮が共同で経済産業省の「インフラ海外展開事業」に提案、採択された。アゼルバイジャン政府は今年2月に策定した「2030年に向けた経済社会開発国家優先事項」で「クリーンな環境とグリーン成長の実現」を国家優先事項の一つと位置付け、国を挙げてグリーンエネルギーの活用と同産業の創出・確立に向けた動きを加速させている。

 

 同国は、カスピ海西沿岸部のほか、多くの場所で風況条件に恵まれているほか、日照時間も長く、風力発電と太陽光発電の適地とされる。欧州、中東、ロシアに近接する利便性もある。既設のアンモニアプラントを有し、肥料向けの国内輸送インフラも整備されているという。こうしたことから、日揮では、将来のグリーン水素・アンモニアプロジェクトの適地として大きなポテンシャルを秘めていると判断している。

 

 アゼルバイジャンの経済は資源依存型で、輸出高の90%以上を石油・ガスが占める。ただ、石油は減産基調にあるほか、温暖化の進展で長期低迷の可能性があることから、再エネ開発に力を入れている。パリ協定の国別温暖化貢献(NDC)では、再エネ割合を現在の17%から2030年には30%へ引き上げる目標を示している。

 

 日揮グループは2015年以降、一般財団法人JCCP国際石油・ガス協力機関の高度人材育成支援事業として、アゼルバイジャン国営石油会社SOCAR社のエンジニアを受け入れ、石油・ガス関連プラントの設計エンジニアとしての育成に貢献してきた経緯があり、同国での人脈も豊富だ。

 

 調査事業では、再エネ発電を利用したグリーン水素・アンモニア生産のための設備・インフラ整備の実現可能性を調べるとともに、将来的な「グリーンアンモニア」による発電、輸出向けの大規模生産やインフラ整備に関するロードマップを策定するとしている。


https://www.jgc.com/jp/news/2021/20210906.html