HOME10.電力・エネルギー |北海道・釧路のタンチョウの来る鶴居村、1日から、太陽光発電施設の設置抑制条例施行。景観や植生保全等との調和を重視。全国に同条例は170強に。規制の統一を求める声も(RIEF) |

北海道・釧路のタンチョウの来る鶴居村、1日から、太陽光発電施設の設置抑制条例施行。景観や植生保全等との調和を重視。全国に同条例は170強に。規制の統一を求める声も(RIEF)

2022-01-01 21:58:48

Tsurui001キャプチャ

 

  北海道の道東の釧路湿原国立公園に位置する鶴居村は1日から、釧路湿原の景観を保全するため、村内での太陽光発電施設の設置を抑制するため、地域を指定した「抑制区域」では発電出力10kW以上の太陽光発電施設を設置しないように求める条例を施行した。「抑制区域」は景観や植生保全、災害の防止等を踏まえて設定する。太陽光発電を規制する自治体の条例は170件強に達している。条例の中身がまちまちなことから、法律による規制の統一を求める声も高まっている。

 

 鶴居村はタンチョウヅルの飛来でも有名。制定された条例は「鶴居村美しい景観等と太陽光発電事業との共生に関する条例」。同村にはすでに12カ所の太陽光発電施設がある。このうちいくつかは国立公園に隣接するエリアに設置されているものがあり、景観や植生への影響が懸念されている。このため同村では、同施設の建設規制を村として統一するため条例を制定した。

 

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 1日施行された条例では、事業者が村内で発電事業を行う場合、事業計画を着工の60日前までに届け出ることや、住民に説明を行うことを義務づける。抑制区域として、①村を象徴する魅力的な景観として良好な状態を保つ必要がある②豊かな自然環境を維持することが、地域の貴重な資源として認められる③土砂災害その他自然災害が発生する恐れがある④その他太陽光発電事業により、周辺地域に著しい影響を及ぼす恐れがあるーー等の区域を設定する。

 

 具体的には、国立公園内や、国指定史跡名勝天然記念物所在地、鳥獣保護区のほか、土砂災害警戒区域、同特別警戒区域、地すべり防止区域、砂防指定地、保安林等を対象区域とする。

 

緩やかな地形が広がる鶴居村
緩やかな地形が広がる鶴居村

 

 同区域外で設置を受け入れる場合も、太陽光発電施設と事業区域の周辺地域の景観との調和や、事業区域内の環境の保全に関する規定等を定めた施設基準を設けて、規制していく。届け出について、村は事業者に対して指導や勧告をすることができる。事業者が、正当な理由なく勧告に従わない場合、村長は事業者名等を公表する。

 

 国の「2050年ネットゼロ」目標設定を踏まえて、再エネ普及が進む中、建設が容易な太陽光発電施設が広がる中で、景観、防災面等での規制条例を制定する自治体は北海道以外でも増えている。地方自治研究機構の調べでは、昨年12月時点(12月7日)で171条例が制定されている。このうち都道府県レベルでも兵庫、和歌山、岡山、山梨の4県が制定している。

 

 条例には鶴居村のように「抑制区域」を設け、それ以外では届け出制とする方式のほか、「抑制区域」内を許可制とする方式、「禁止区域」を設ける等、多様な規制になっており、事業者側からは地域によって条例の幅が異なることから、国の統一基準の制定を求める声も出ている。

 

https://www.vill.tsurui.lg.jp/soshikikarasagasu/kikakuzaiseika/murazukurisuishingakari/taiyoukouhatsuden/1241.html

http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/005_solar.htm