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イオンモール、2024年までに国内の大型商業施設の使用電力をすべて再エネ電力に切り替え。「非化石証書」は使わず、自前開発やコーポレートPPA、消費者の余剰電力等も(各紙)

2022-01-11 11:04:17

Aonmolキャプチャ

 

 各紙の報道によると、イオングループのイオンモール(千葉市)は、国内約160カ所で展開する大型商業施設で使用する電力を、2040年度までにすべて再生可能エネルギー源に切り替える。再エネの環境価値を取引する経済産業省の「非化石証書」を使わず、太陽光発電所を自ら設置するほか、発電事業者から全量買い取るコーポレートPPA等を利用する。消費者が自宅設置した太陽光発電の余剰電力も購入対象とし、その場合にポイント還元を付与することで、イオンモールを軸とした地域での脱炭素化を促進する考えという。

 

 日本経済新聞が伝えた。イオンモールの年間電力消費量は約20億kW時。国内の電力消費全体の0.2%を占める。イオングループ全体の年間消費電力量は71億kW時で、日本の総電力消費量の1%弱を占める。イオンモールはその約3割を占める。

 

 イオンモールの再エネ電力への切り替えは、22年から本格的に太陽光発電を導入する。大型商業施設のモールの建物屋上等に自前の太陽光発電設備を設置するほか、外部の発電事業者と長期契約を結び、再エネを全量買い取る「コーポレートPPA」を導入する。また各施設に大型蓄電池を整備し、調達した再エネ電力を施設の繁忙に合わせて効率的に活用する。

 

 力を入れるのが、一般家庭が設置する屋根置き太陽光発電設備の余剰電力の調達だ。消費者が電気自動車(EV)に蓄電した余剰電力をイオンモールに提供する仕組みとし、提供した消費者に対しては、電力販売料金とポイントを還元するサービスも始める。再エネ電力の調達の多様化に資するとともに、消費者の太陽光設備の設置を促し、イオンモールとの連携を強めることにもつながるとみている。

 

 導入を対象とする再エネ電力は、太陽光発電のほか風力発電、バイオマス発電、水素発電など多様に確保する。また施設内での再エネ設備の設置だけではなく、自前の発電事業を展開するため、用地取得など関連投資も検討していくとしている。

 

 親会社のイオンは、電力を全て再エネに切り替える「RE100」に加盟しており、2040年度にグループ全体の事業活動による温室効果ガス排出量の実質ゼロを目標に掲げている。イオンモールの再エネ切り替えと並行して、グループ傘下の他企業が運営するスーパー等にも再エネ電力の導入を進めていく。

 

 他の大手小売グループでは、セブン&アイ・ホールディングスが2021年から、NTTの太陽光発電事業から電力供給を受けているほか、ローソンは22年に親会社の三菱商事から太陽光発電による再エネ電力の調達を始める方針だ。

 

 今回のもう一つの特徴は、経産省が推進している非化石証書を使わず、直接、太陽光発電電力の確保と、コーポレートPPA等で手当てする方針を打ち出した点だ。非化石証書は化石燃料を使わず発電した電力の環境価値を証書化して売買する仕組みだ。

 

 だが、役所主導の制度設計の結果、手続き・仕組み等が複雑で、調達する際のコスト負担が大きい等の問題が指摘されている。欧米でもほとんど普及しておらず、わが国の「ガラパゴス気候政策」手段の象徴の一つとされている。代わりに企業の調達で有望なのがコーポレートPPAだ。再エネ発電を直接発電事業者から長期契約で安定的に確保できる点が消費電力の大きい企業向けとなっている。

https://www.aeonmall.com/static/detail/about/

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC074WJ0X00C22A1000000/