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ベトナム、ドイツ企業と連携し、同国初のグリーン水素事業建設に着手へ。総事業費8億4000万㌦。国内の電力需要対応だけでなく、近隣のアジア諸国への輸出も目指す(RIEF)

2022-05-27 21:02:55

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 ベトナム初のグリーン水素事業が6月から建設される。水素製造プロジェクトはアジアでも始まりつつあるが、ベトナムでは、日本政府等が推進する天然ガス等の化石燃料とCCSを組み合わせた「ブルー水素」よりも、再生可能エネルギーを電源とする、よりクリーンな「グリーン水素」事業を立ち上げる形だ。事業の展開にはドイツの鉄鋼・工業製品メーカーのティッセンクルップ グループが全面協力する。

 

 ベトナム初のグリーン水素事業は、南ベトナムのベントレ省バトリに建設される。建設費は19兆5000億ドン(約8億4000万㌦)と見込んでいる。設備の建設は6月後半に開始し、2023年第一四半期に完成する見通し。

 

 プラントは当初、グリーン水素を年2万4000㌧、同アンモニアを15万㌧、酸素を19万5000㌧を製造する。その後、設備を増強し、グリーン水素は6万㌧、同アンモニアは37万5000㌧、酸素は49万㌧へと、それぞれ倍以上に生産能力を高める予定だ。

 

 事業は政府系企業のTGS Green Hydrogenが実施する。同社は3月に、ドイツのティッセンクルップグループとグリーン水素開発の協定を締結した。第一号のグリーン水素設備事業は、ティッセンクルップ産業ソリューション(tklS)と、同じくグループのティッセンクルップニュークリアAG&Co.kgAaの2社との共同事業という形になる。

 

 協定では、2020年~2050年の30年間にわたって、グリーン水素とグリーンアンモニア、酸素の開発を展開することで合意している。再エネ電力の電解設備等はティッセンクルップが開発提供する。

 

 ベトナムでは経済成長によって地域の製造業が使用する電力需要が増大しており、発電量は2030年までに倍増の14万6000MWが求められている。こうした電力需要への対応として、石炭への依存を減らし、再生エネルギーの使用を増やす計画だ。同国は2050年ネットゼロを宣言している。

 

 さらに、ベトナム政府では、国内で開発するグリーン水素、同アンモニアを国内の発電事業で使用するだけでなく、近隣の東南アジア諸国にも輸出する計画を立てている。グリーン燃料輸出でアジアでのリーディング国家の座を確保することを目指すとしている。

 

 水素の製造には再エネ電力によって水を電解する方式の「グリーン水素」のほか、天然ガス火力等の電力で電解し、火力発電で発生するCO2をCCSで回収貯留する「ブルー水素」、CCSを活用しない「グレー水素」等がある。日本政府等はブルー水素をアジア諸国でも展開する計画を立てているが、アジアでも、よりクリーンなグリーン水素への需要が高まっている。また、ロシアのウクライナ侵攻の影響で天然ガス価格がグローバルに上昇していることから、ブルー水素の価格競争力が低下しているという側面もある。

 

($1 = 23,195 dong)

Vietnam company to invest $840 million in country’s first green hydrogen plant – CNA (channelnewsasia.com)

https://www.vd-office.org/en/german-and-vietnamese-enterprises-cooperate-in-developing-green-hydrogen-and-ammonia-projects-in-vietnam/