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シャープ、電気自動車(EV)の屋根や飛行機の機体等に搭載可能な、世界最高の変換効率の太陽光発電モジュール開発。ゼロエミッションからネガティブエミッションに道(RIEF)

2022-06-06 23:08:29

Sharp001キャプチャ

 シャープは6日、電気自動車(EV)の屋根等に設置が可能で、世界最高の32.65%の変換効率を持つ太陽光発電池モジュールを開発したと発表した。フィルムを活用した軽量かつフレキシブルなパネルをEV等の移動体に搭載することで、太陽光由来の電力を車体に直接供給できることから、燃料費や充電回数等を削減でき、EVがゼロエミッションからネガティブエミッションに発展することも期待できる。

 シャープの開発はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による「移動体用太陽電池の研究開発プロジェクト」の一環として実施された。これまでのモジュールは2枚のガラスで太陽電池セルを挟む構造だったが、シャープは薄いフィルムで挟んだ構造に変更した。その結果、軽量かつフレキシブルな特長を兼ね備えたモジュールを実現した。

 モジュールは約29cm×約34cm(面積965㎠)で、重量も約56g(0.58kg/㎡)と、実用化可能なサイズにまで軽量化した。太陽電池セルは、インジウム、ガリウム、ヒ素の3化学物質をボトム層とする3つの光吸収層を積み上げ、太陽光を効率的に電気に変換できる独自構造を採用した。

 これまで同構造のセルで、2013年4月に小サイズ(面積1.047㎠)で37.9%の変換効率を達成したほか、2016年には実用可能なサイズ(面積27.86㎠)のセルからモジュール(面積968㎠)を作製し、当時の世界最高変換効率31.17%を達成した。

 今回は、この2016年作製のモジュールの太陽電池セル(面積22.88㎠)の平均変換効率をさらに向上(約34.5%→約36%)させ、かつモジュール内のセル充填率を改善することで、実用サイズモジュール(面積965㎠)での変換効率を32.65%にまで向上させたという。実用サイズの軽量かつフレキシブルな太陽電池モジュールでは世界最高の変換効率だとしている。

 開発した太陽光発電モジュールは、EVだけでなく、宇宙・航空分野などの移動体への搭載も見込める。同社は、「2050年カーボンニュートラル実現への一つの道筋を示し、移動体分野における温室効果ガスの排出量削減に貢献していく」とコメントしている。

https://corporate.jp.sharp/news/220606-a.html