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東電新首脳おわび行脚終了 13首長、怒号と期待と(河北新報)
2012-07-04 06:26:55
東京電力の下河辺和彦会長と広瀬直己社長は3日、福島県浪江町などを訪ね、福島第1原発事故で住民避難の続く13市町村への「おわび行脚」を終えた。首長らは責任転嫁と受け取れる社内事故調査委員会の最終報告や賠償、事故収束の遅れに厳しい言葉を浴びせる一方、刷新された経営陣への期待感をにじませた。
「何なんだ一体。誠意を示せよ」
馬場有浪江町長は福島県二本松市の仮役場を訪れた広瀬社長に怒りをぶつけた。町は東電と締結した緊急時連絡協定が原発事故で不履行だったとして6月、東電に質問書を提出。3日が回答期限だったが、「追跡調査中」として回答書を持って来なかったことに激高した。
「一両日中に持参する」と答えるのが精いっぱいだった広瀬社長は3日夕に再び役場を訪ね、町長に手渡した。
6月29日に始まった市町村行脚は下河辺、広瀬の両氏にとって針のむしろ。首長からは「社内事故調の最終報告で怒りを覚えた。東電には裏切られ続けている」(桜井勝延南相馬市長)などの批判が相次いだ。
一方で、外部から起用された弁護士出身の会長と、賠償担当常務として事故後に何度も福島入りした社長という異色の顔ぶれに変化を感じ、期待を寄せる声も目立った。
遠藤雄幸川内村長は「会長は外部から起用され、社長も賠償問題で住民と向き合った。スピード感のある対応が期待できるのではないか」と指摘。松本允秀葛尾村長は「前の経営陣よりいい。対応に誠意は見えた」と評価した。
遠藤勝也富岡町長は「新会長、社長には難局だが、生まれ変わった気持ちで対応してほしい」と激励し、渡辺敬夫いわき市長は「社内風土を改革してほしい」と望んだ。
原発周辺自治体の東電への思いには愛憎が入り交じる。「半世紀、共生の名の下に信頼関係を築いた」(渡辺利綱大熊町長)歴史があるためだ。
冨塚宥〓田村市長は「市は被害者だが、東電勤務の市民もいて心境は複雑だ」と漏らす。「教訓にしてほしいから厳しいことを言った。被害者と加害者がいつまでもけんかしても進まない」と述べ、住民帰還や復興作業を阻む除染問題への積極的な協力を求めた。
賠償や事故収束が進まない中で寄せられた期待。東電が「避難者の思いを感じて態度で示すこと」(菅野典雄飯舘村長)ができなければ、信頼回復の道は絶たれる。
行脚を終え、下河辺会長は「責任に向き合うことが全ての原点と実感した」と語り、広瀬社長は「頂いた声を受け止める」と話した。
両氏は正味3日間で双葉、大熊、富岡、楢葉、いわき、広野、葛尾、田村、川内、浪江、川俣、南相馬、飯舘の順に各市町村を訪ね、首長と会談した。
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/07/20120704t65015.htm