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出光興産、グループ企業・西部石油の山口製油所の停止を発表。グループ全体の石油精製能力縮小の一環。脱炭素化の流れで供給能力過剰に。水素・アンモニア基地への転換目指す(各紙)

2022-06-15 14:28:56

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 出光興産は14日、同社が出資している西部石油の山口製油所(山口県山陽小野田市)の精製機能を2024年3月をめどに停止すると発表した。人口減少や脱炭素の流れを受けて国内の石油製品需要の減少が見込まれるため、製造・供給体制の見直しを実施する。 丹生谷晋副社長は会見で「北海道・東北以外のエリアはすべて余剰」と述べ、製油所再編をさらに進める考えを示した。

 

 (写真は、出光が子会社化した西部石油の山口製油所)

 

 出光は同時に、西部石油の株式の66.9%を取得して同社を子会社化した。今後、取得割合を高めて完全子会社とする。

 

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 今回稼働を停止する山口製油所の処理能力は日量12万バレル。脱炭素の流れが国内でも加速し始めている中で、出光は今後、2030年までにグループ全体で30万バレルの精製能力が余剰になるとみている。

 

  同社では「国内の石油製品需要の減少スピードは従前の予想よりも速まっている」と指摘。山口製油所の精製機能12万バレルの停止に続いて、30年までにさらに18万バレルの削減を目指す。さらに2030年以降についても、さらなる精製能力削減が必要になると判断している。22年3月期の製油所の平均稼働率は77%となっているが、山口製油所の精製機能停止後は90%に上昇するという。

 

 精製能力の見直しを迫られているのは、出光だけではない。最大手のENEOSは20年に大阪製油所(大阪府高石市)を停止、根岸製油所(横浜市)の能力削減と和歌山製油所(和歌山県有田市)閉鎖を発表している。3年間で、全体の2割近い能力を減らす計画だ。石油連盟によると、21年3月末時点の日本の原油処理能力は1日当たり345万7800バレルで、この20年間で35%減った。しかし、同期間中の燃料油販売は能力削減率を上回る38%のペースで減少しており、能力削減が追いついていない。

 

 地球温暖化問題への関心の高まりから、脱炭素化が各方面で進行、ガソリンの需要縮小と価格高騰の影響で売り上げ減少が続いている。出光は精製事業を停止する山口製油所について、今後、CO2を排出しない水素やアンモニアなどの次世代エネルギーの受け入れ基地にすることを検討しているという。出光の丹生谷副社長は「20年代後半には動き出していきたい」としている。

https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/220614.html

 

https://www.seibuoil.co.jp/news/img/8c885e63239343e85e4621f5580e9c4b5421f92d.pdf