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関西電力とオリックス、電力系統に初の本格的な大型蓄電設備導入へ。出力48MW。2024年に稼働予定。需給調整力を強化。再エネ主力電力化に対応へ(RIEF)

2022-07-14 18:09:17

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 関西電力とオリックスは14日、関電の電力系統に国内最大規模の大型蓄電設備を接続し、電力の需給の安定化を図る事業を共同で実施すると発表した。カーボンニュートラルの実現に向けて、国内の発電量に占める再生可能エネルギー発電の割合が増大していることを受け、発電量の変動に対する調整力の確保を目指す。電力系統に大型蓄電機能を盛り込むのは初めてとみられる。

 

 両社は共同で「紀の川蓄電所合同会社」を設立する。同社は、関西電力送配電の紀の川変電所(和歌山県紀の川市)の敷地内に、定格出力48MW、定格容量113MWhの能力を持つ大型系統用蓄電池を設置する計画だ。今年8月から工事に着工し、24年の事業開始の予定。蓄電池は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)のリチウムイオン電池方式を採用する。

 

 同事業は、大型蓄電池を電力系統に接続し、電力の余剰時には充電し、不足時には放電することで、電力需給の安定化を図る。具体的には、需給調整市場、日本卸電力取引所、容量市場の3市場において必要となる需給調整力を市場参加者に提供することになる。関西電力は主に蓄電池の運用業務を、オリックスは主に保守・メンテナンス業務、およびアセットマネジメント業務を担当する。

 

 カーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの主力電源化が推進される中で、太陽光発電や風力発電等は、日射量や風況等の天候の影響で発電量が変動することで、発電量不足による需給逼迫や供給過多に伴う出力抑制等の課題が指摘されている。こうした再エネ電力の変動の調整も蓄電機能で平準化することが期待される。

 

 国内の発電量に占める再エネ電力の割合は、2011年度の10.4%から2019年度には18.1%に増加している。国のエネルギー基本計画では、2030年度には現状の約2倍の36~38%への増加が見込まれている。こうした目標を実現するには、電力系統への本格的な蓄電設備の導入が不可欠とされている。

 

 これまで国内の主要電力会社は、系統電力での蓄電力をあまり強化してこなかった。だが、再エネ電力の普及と、需給調整市場等の市場取引の普及を受けて、ようやく蓄電事業に本格的に投資を始めたといえる。

https://www.orix.co.jp/grp/company/newsroom/newsrelease/220714_ORIXJ.html

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2022/pdf/20220714_1j.pdf