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清水建設、地熱とバイオマス資源を活用した低コストの「グリーン水素製造プラント」実証運転開始。大分県九重町で。現行の設備より3分の1のコスト削減目指す(RIEF)

2022-08-01 17:11:24

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 清水建設は低コストのグリーン水素製造の実証プラントの実証運転を開始すると発表した。大分県玖珠郡九重町に、地熱とバイオマス資源を使ったプラントを完成させ、今月から稼働させる。新プラントでは、製造時のCO2排出量を現在の市販水素の10分の1以下に、製造コストを太陽光等の再エネ利用のグリーン水素の3分の1以下にすることを目指す。

 

 グリーン水素実証プラントは、環境省の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の一環で、昨年11月に建設に着手していた。プラント自体、同社が環境省から委託を受けて建設した。低コスト・グリーン水素製造技術は同社のほか、市川事務所(東京)、エネサイクル(宮城県大崎市)、大日機械工業(横浜市)、ハイドロネクスト(大分市)の5社が共同開発した。

 

 実証運転は、8月から12月にかけて、約25日間の連続運転を3回行う予定。連続運転では、バイオマス資源として地元産の杉のチップ材と地熱水の蒸気を利用して水素を発生させ、水素製造能力が50Nm3/h、純度99.999%以上であることを確認する。

 

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 プラントは、木質チップの炭化炉、炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置から構成される。水素の製造プロセスでは、炭化炉に投入した木材チップを蒸し焼き状態にして炭化物(C)を生成させる。次いで炭化物を改質ガス化炉に投入して水蒸気を加え、炉の中を800℃超の高温にして炭化物と水蒸気を化学反応させ、改質ガスと呼ぶH2、CO、CO2、水蒸気を含む混合ガスを生成させる。

 

 この改質ガスを再び高温で化学反応させてH2の含有量を高めた後、PSAガス精製装置と金属膜水素分離装置で燃料電池用グリーン水素(純度99.999%以上)を抽出・製造するプロセスとなる。

 

 水素製造の過程で生成する1,070℃の高温ガスを熱源として電力使用量を抑制するほか、余剰となる高温排熱(ガス)を地熱発電用水蒸気の追い炊き熱源として売熱できるため、水素製造コストを大幅に低減できるとしている。高温ガスは、炭化炉で副生する燃料ガスやタールを空気燃焼させることで生成される。

 

 実証実験で、品質面、安全面での安定稼働を検証するとともに、水素の製造コストおよびCO2排出削減率等を算定し、年度内に実証結果をまとめる予定。同社では、実証事業で得られるノウハウを活用し、今後、中小地熱発電所に併設する水素製造実用プラントの自社開発に取り組む予定としている。実用プラントの水素製造能力は250~1000Nm3/hを想定している。

https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2022/2022029.html