HOME10.電力・エネルギー |三井物産、三菱商事。サハリンⅡ事業の保有資産価値を合計約2000億円減額(3月末比)。昨年12月末比では3000億円超。日本政府は、ロシアが設立する新会社での権益維持へ(RIEF) |

三井物産、三菱商事。サハリンⅡ事業の保有資産価値を合計約2000億円減額(3月末比)。昨年12月末比では3000億円超。日本政府は、ロシアが設立する新会社での権益維持へ(RIEF)

2022-08-03 12:33:21

SAHARINキャプチャ

 

 各紙の報道等によると、三井物産と三菱商事は2日、ロシアでの天然ガス開発事業「サハリンⅡ」での保有資産の評価資産価値を第四半期決算で6月末時点でそれぞれ減額したと発表した。合計約2000億円の減額(3月末比)となる。減額幅は昨年12月末からは合計3000億円を超える。サハリンⅡ事業についてはロシア政府が新設する別会社に権利などを移す方針を示している。両社は第一四半期にも評価を減額した。

 

 サハリンⅡ事業の運営会社であるサハリン・エナジーに、三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資している。27.5%を所有し、事業運営を担当するシェルは、ロシアのウクライナ侵攻後、事業からの撤退を決定している。

 

 三菱商事はロシアの侵攻前の21年12月末に、資産価値評価を約1930億円としていたが、22年3月末に1433億円に減額、6月末には622億円まで減らした。日本経済新聞によると、野内雄三最高財務責任者(CFO)は「大統領令の発出によるサハリンⅡの(事業継続の)不確実性の高まりを受け、複数シナリオに基づいて価値を評価した」と述べた。

 

 一方、三井物産は資産価値評価額は公表せず、減額幅しか明らかにしていない。それによると、3月末に441億円減らし、さらに6月末に1366億円減額した。同事業での資産価値総額は侵攻前の半分以下になったとみられるという。同社の重田哲也CFOは「大統領令が出たことで将来得られる見込みの配当について不確実性が高まった。資産評価を保守的に見積もった」とコメントしている。両社合計の評価減額は3月末比で約2000億円、12月末比では3000億円超になった。

 

 日本はサハリンⅡで生産される天然ガスをLNGに転換し、年間約600万㌧分を輸入している。日本のLNG輸入量の約10%を占める。ウクライナ侵攻後も、LNGの輸入自体は続いている。しかし、ロシアのプーチン大統領は6月末、サハリンⅡ事業を、新たにロシア企業を設立して運営主体のサハリン・エナジー社の権利・義務を移管する大統領令を出している。

 

 このため、日本の2商社も新会社設立後、1カ月以内に同じ持ち分で移ることに同意するか撤退するかの判断を迫られている。日本政府はサハリンⅡ、および経済産業省が伊藤忠等と合同で出資しているサハリンⅠでの日本の権益を維持する方針だ。

https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/pdf/ja_233_1q_ppt.pdf

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2022/files/0000049656_file1.pdf