中国、新車販売に占める電気自動車等の「新エネルギー車」割合を2027年までに45%に。現行は「30年に40%目標」。中国製EVの普及の手応えを受け目標前倒し。PM排出量削減も強化（各紙）
2024-01-12 22:26:32
（写真は、中国BYD社製のEVの走行状況＝ロイターから）
各紙の報道によると、中国共産党と中国政府は11日、環境をめぐる中長期的な目標を示した文書を発表した。その中で、乗用車の新車販売に占める電気自動車（EV）等の「新エネルギー車」の割合を、2027年に45%に高めるとした。同目標は努力目標との位置づけだが、現行の主流であるガソリン車については「淘汰（とうた）」との文言を盛り込んだ。
共産党と中国政府が採択したのは「美しい中国建設の全面的推進に関する中国共産党中央・国務院の指導意見」（「意見」）。それによると、美しい中国の建設は社会主義現代化国家の全面的建設という重要な目標であり、中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現する重要な要素、と指摘している。
そのうえで、「第14次5カ年計画」では堅塁攻略に踏み込んで、生態環境の持続的改善を実現するとし、続く「第15次5カ年計画」では拡大を強化し、生態環境の全面的改善を実現する、「第16次5カ年計画」では全体的な向上を図り、生態環境の根本的好転を実現するとして、段階的このに生態環境の改善、拡大、好転とつなげていくことを求めている。
こうした段階的計画の柱の一つとして、自動車分野について2027年までの努力目標として、乗用車の新車販売に占めるEV等の新エネルギー車の割合を45%に引き上げるとした。ガソリン車など旧型の内燃機関車（エンジン車）については同年までに「基本的に淘汰」とした。ただ、「新エネルギー車」にEV以外の燃料電池車や、ハイブリッド車等が含まれるのか、あるいはエンジン車の「淘汰」の詳細な内容等については明らかではない。
中国の自動車業界団体はこれまで、政府の指導に基づく目標として、「2030年に新エネ車が市場の40%前後、35年に50%以上を占める」ことを示していた。今回の政府・共産党の方針はこの目標を前倒しするものとみられている。中国でのEV等の新エネ車販売の実績の割合は、23年に31%に達したとされる。
また大気汚染物質の微粒子物質（PM）等については、27年までに平均で28㎍（マイクログラム）以下に引き下げ、35年までに25㎍以下にするとした。中国はこれまでPM水準を35㎍としていたが、世界保健機構（WHO）による健康保全のためのPM水準の5㎍を大きく上回り、内外で問題視されていた。今回の基準引き下げは、「Beijing-Tianjin-Hebei（北京-天津-河北地域」の都市群を含むほか、 揚子江デルタ地帯の人口密集地区も含む。PMの削減に加えて、他の大気汚染物質の削減も進めるとしている。大気汚染物質のうちCO2等の温室効果ガス（GHG）の排出量については、2030年までに排出量の増大を抑制するとのピークアウト目標を設定している。
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今回、採択した「意見」は10章33条で構成される。「美しい中国建設」に関する目標への道のり、重点任務、重大政策に焦点を当てて詳細な措置を打ち出している。主な重点施策として、発展方式のグリーンモデルへの転換の加速、汚染防止の堅塁攻略の持続的かつ踏み込んだ推進、生態系の多様性・安定性・持続性の向上、美しい中国建設における安全の最低ラインの維持、美しい中国建設の模範モデルの構築、美しい中国建設の全国民行動の展開、美しい中国建設の保障体系の整備などを盛り込んでいる。「習近平生態文明思想による指導を堅持する」とうたっている。
一方、原子力や放射線をめぐっては「安全を確保する」とした。その中で「我が国が管轄する海域での観測と研究を強める」との文言を盛り込んだ。東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、中国は日本を強く批判し、独自のモニタリングなどを求めている。
https://article.auone.jp/detail/1/3/6/16_6_r_20240111_1704977162225445
https://japanese.cri.cn/2024/01/11/ARTI9EhFR4WRAO4gAiAL8oTJ240111.shtml
https://article.auone.jp/detail/1/3/6/16_6_r_20240111_1704977162225445
Research Institute for Environmental Finance