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英原発建設、中国企業の出資制限する動き(FT)

2012-08-20 18:23:45

独電力大手エーオンとRWEは英国の新規原発事業「ホライズン」を売却する(写真はエーオンのロゴ)=AP


(2012年8月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)英国の新規原発事業「ホライズン」の獲得に名乗りを上げた複数のグループに、中国の原子力企業が参加している。しかしいずれのグループが獲得に成功しても、中国企業が過半の出資をする可能性は低そうだ。中国政府が同事業の主導権を握ることを懸念する声が強まっているためだ。


 



■中国の英インフラ事業投資の試金石に

 

ホライズンを巡っては共同所有者の独電力大手エーオンとRWEが今年、売却計画を発表した。安全保障にも関わる原子力産業の微妙さを考えると、この案件が中国が英インフラ事業に大規模投資をする際の重要な試金石となるに違いない。


 売却計画を知る複数の関係者によると、競合する2つのコンソーシアムに対し、英政府高官は中国企業のホライズンへの出資比率を全体の半分以下とするとの意向を示した。しかし、建設費用の数十億ポンドを中国系金融機関から調達するとみられることから、中国企業の出資比率を抑えるのは難しい面もある。




 英エネルギー省内の審議に詳しい人物は「中国が50%超を所有できないことはずっと理解されてきた。国民の同意や政治的な支持を得にくいことが理由だ」と述べた。




 英政府高官らは、入札するコンソーシアムの最終的な出資比率について一切の「固定観念」を抱いていないと主張。決めるのはエーオンとRWEだと述べた。


 



■「安全保障上の懸念引き起こす」


 



 同様の懸念は、中国国営企業が関与する欧米での案件を複雑にしてきた。特にエネルギー・通信分野ではその傾向が顕著だ。福島第1原子力発電所の事故や、その後ドイツが段階的な原発廃止を打ち出したことで、英国は原発新設を進める数少ない先進国の1つとなった。




 「中国共産党をバックにした国営企業を参入させれば、安全保障上の大きな懸念を引き起こす」と話すのは、英議会の国家安全保障委員会の委員、マーク・プリチャード保守党議員だ。反原発派で知られるサイモン・ヒューズ自由民主党議員は、中国の関与に「微妙な問題」があることを認めながらも、「一部の国に異なるルールを適用することはできない」と語り、同国の国営企業だけ特別扱いするのは誤りとの考えを示した。

「ホライズン」は、アングルシー島のウィルファとグロスターシャー州のオールドベリーに原発を新設するプロジェクト。売却価格はおよそ5憶ポンドとみられ、少なくとも2つのコンソーシアムが応札準備を進めている。


 1つは東芝傘下の米原子力大手、ウエスチングハウス(WH)が中心となり、中国国営の原発企業、国家核電技術公司や米電力大手エクセロンが参画する。第2のグループは、仏原子力大手アレバが、国営の中国広東核電集団と組む予定だ。




 原発事業の米合弁会社であるGE日立ニュークリア・エナジーも関心を示しているという。最終的な入札は来月予定されている。


 



By Anousha Sakoui and Jim Pickard




(c) The Financial Times Limited 2012. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

 

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV20002_Q2A820C1000000/?df=2

独電力大手エーオンとRWEは英国の新規原発事業「ホライズン」を売却する(写真はエーオンのロゴ)=AP