HOME10.電力・エネルギー |原発事故避難 自殺9人を震災関連死と認定(河北新報) |

原発事故避難 自殺9人を震災関連死と認定(河北新報)

2012-08-22 21:17:19

「原発さえなければ」 福島原発事故で自殺した福島県相馬市の酪農家の男性がカベに書き残した遺書
「原発さえなければ」 福島原発事故で自殺した福島県相馬市の酪農家の男性がカベに書き残した遺書


福島第1原発事故で避難区域に指定された福島県内の11市町村と隣接のいわき市で3月末までに9人が自殺し、震災関連死に認定されたことが21日、復興庁が岩手、宮城、福島の3県で実施した東日本大震災の関連死原因調査で分かった。

 原発事故で長期の避難を強いられ、生活再建のめどが立たない住民を抱えた自治体が多く、自殺の大半は原発事故が原因とみられる。復興庁は「原発事故と関係があるかどうかは解釈次第だと思う」と話している。
 

調査はいわき市のほか双葉郡8町村と南相馬、田村の2市、飯舘村の計12市町村で3月末までに関連死と認定された734人を対象に実施。市町村ごとの内訳は「自殺者の特定につながりかねない」として明らかにされていない。
 

3月末時点の関連死者数は福島県が761人と最多で宮城県は636人、岩手県は193人。復興庁の「震災関連死に関する検討会」が21日にまとめた最終報告では、福島県の関連死者数が多い背景を「原発事故に伴う避難などによる影響が大きい」と分析した。

 最終報告は新潟県中越沖地震などの例から「環境の変わり目で自殺のリスクが高まる傾向にある」と指摘。自殺予防策とされる心のケア以上に「地域経済や職業、健康状態の改善などの生活再建を通して初めて被災者の心の健康が回復する」と、生活基盤整備の必要性を強調している。

 災害関連死は原則的に自然災害による死亡に限られ、関連死と認定された場合に遺族に支払われる災害弔慰金も故意の死亡を除外するケースもある。しかし、厚生労働省は「原発事故は自然災害(震災)が発生原因。原発事故と自殺の因果関係があると判断されれば関連死認定は可能だ」との見解を示している。

 

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/08/20120822t63018.htm