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発送電分離で東京電力はどうなる――送配電の広域支配で巨大化も?(東洋経済オンライン)

2012-08-30 18:22:04

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経済産業省の電力システム改革専門委員会は、7月13日にまとめた「基本方針」で電力会社の発電と送配電部門を切り離す発送電分離案を打ち出した。提示したのは法的分離と機能分離の2案だ。前者は電力会社を持ち株会社化し、発電、送配電、小売り部門を子会社にする方法。後者は各部門とも電力会社の中に残したまま、送配電部門の運営は独立系統運用機関(ISO)が行う方法だ。

改革専門委は年内にどちらを採用するか決定し、来年の通常国会に法案が提出される予定。東京電力はカンパニー化を通じて「どちらの方式にも対応できるようにしている」(政府関係者)。

発送電分離の目的は、新規参入者も公平に電力会社の送電網(系統)を利用できるようにすること。実現すれば、電力会社の発電部門と新規参入した特定規模電気事業者(新電力)などが同じ土俵で戦い、現在の地域独占に競争が生まれる。

 ここで重要になるのは、送配電部門の独立性の確保だ。「系統運用はこれまで電力会社の奥の院で、電力会社以外の人にはよくわからない」(元経産官僚の奥村裕一・東京大学公共政策大学院教授)とされる。そのため、送配電部門には「電力会社に戻れないノーリターンルールなど仕組みが必要」(改革専門委の高橋洋・富士通総研主任研究員)になる。

もっとも、発送電分離が既存の電力会社にとってマイナスに働くとは言い切れない。電力は規模の経済が働く分野だ。発電については、新電力が参入しても規模が大きくノウハウも持つ大手電力会社にのみ込まれかねない。送配電についても、専門委は広域運用を目指しており、今後東西2社などに集約される可能性もある。その際、有利なのは系統資産を多く持つ東電など大手電力であり、仮に送配電部門をグループ内に抱えることができれば、連結の収益は膨らむ。電力会社は戦い方次第で、地域を超えた巨大企業となるかもしれない。

 

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