HOME10.電力・エネルギー |活断層があっても運転可能に? 活断層評価の改悪について保安院に質問・要望書を提出(FOE) |

活断層があっても運転可能に? 活断層評価の改悪について保安院に質問・要望書を提出(FOE)

2012-08-31 09:38:30

活断層調査対象の志賀原発
敦賀、志賀、大飯などで破砕帯の調査が始まり、美浜
、「もんじゅ」でも再調査が決まりました。現行の耐震設計審査指針やその「手引き」では、活断層の上に原発の重要施設をつくってはならないことになっています。しかし、再調査によって破砕帯が活断層だと認められればのこと。このままでは廃炉となる原発が続出するのをなんとか回避しようと、保安院は悪巧みをはじめています。

 

原発、断層ずれても運転可能に 保安院が新基準導入へ(2012/08/28 共同通信)

原発敷地内の活断層を3つに分類し、「弱面」という新たな概念を持ち込もうとしています。
原発直下の活断層を「弱面」と分類すれば、施設に大きな影響を与えないとして、活断層であってもかまわないとしてしまうものです。

全国の原発に関係し、現在の指針や手引きを骨抜きにするものです。
これまで2回意見聴取会で議論されていますが その目的や意図についてほとんど説明していません。

29日、グリーン・アクション、美浜の会、FoE Japan、福島老朽原発を考える会は、保安院に質問・要望書を出、また

活断層調査対象の志賀原発


、地震・津波に関する意見聴取会の委員に送りました。


「原子力発電所敷地内の破砕帯の評価に当たっての検討の考え方」に関する質問・要望書
◆原発敷地内の活断層を3分類し、「弱面」という新たな概念を持ち込むのは何のためか
◆原発敷地内の断層(破砕帯)が活断層と認められた場合は、原発の運転・設置は認められないという原則を堅持するべき

原子力安全・保安院長 深野弘行 様

原子力安全・保安院は、8月10日と24日の「地震・津波に関する意見聴取会」に、「原子力発電所敷地内の破砕帯の評価に当たっての検討の考え方」(以下、「検討の考え方」と呼ぶ)と題する文書を示し、これまで2回の議論が行われてきた。
(検討の考え方) http://www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/26/021/21-6-2.pdf「検討の考え方

」では、現在全国の原発で問題となっている敷地内の断層(破砕帯)について、活断層と評価された場合に、3つ(①主断層 ②副断層 ③弱面)に分類して評価するとなっている。「弱面」という新たな概念の導入については、意見聴取会の委員からも「弱面がどういう意味で使われているのか分かりにくい」などの意見が出されている。そしてなによりも、なぜ現在、このような区分を持ち込むのか、その目的と意図が何であるのかについての詳しい説明は保安院からなされていない。

原発敷地内の断層(破砕帯、シーム)については、敦賀原発、志賀原発、大飯原発で活断層の可能性が濃厚となり、さらに美浜原発、「もんじゅ」でも再調査が決定した。耐震設計審査指針や「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」(以下「手引き」と呼ぶ)に従えば、原子炉や耐震安全上重要な施設であるSクラスの施設は、活断層の上に設置してはならないことになっている。再調査によってこれら原発敷地内の断層が活断層と認められれば、運転・設置は不可能となり廃炉にする以外にない。

例えば大飯原発3・4号の場合、F-6断層が活断層かどうかの再調査が始まるが、再調査ではF-6が12万~13万年前以降に動いたかどうかをみることによって、活断層かどうかを判断することになる。活断層だと判断されれば、大飯原発3・4号は指針や「手引き」に照らして運転・設置はできなくなる。

今回の「検討の進め方」は、これら原発が廃炉に追い込まれることがないように、「弱面」という概念を新たに持ち込み、逃げ道を作ろうとしているのではないかと、私たちは強い疑念を抱いている。
12万~13万年前に動いたものを活断層とするという定義に基づき、耐震設計審査指針や「手引き」に従って、敷地内に活断層が存在する場合は、原発の運転・設置は許されないという基本原則が守られるべきだ。

以下の質問と要望について、面談して回答を求める。

質問事項

1.原発敷地内の断層(破砕帯やシーム)が活断層だと評価された場合に、すなわち、12万~13万年前以降に活動したと評価される場合に、3つのグループ分け(①主断層 ②副断層、③弱面)を行うという理解でよいか。

2.全国の多くの原発の敷地内、原子炉建屋や重要な施設の真下に断層(破砕帯)が存在している。これら断層が活断層の疑いが濃厚になり、敦賀原発、志賀原発、大飯原発では再調査が始まり、さらに美浜原発と「もんじゅ」でも再調査が行われることになった。
このような折、活断層だと評価された場合に、新たに3つの区分を設ける目的・意図は何か。

3.「活断層」の定義は、12万~13万年前以降に活動したということになっている。
「手引き」では、原子炉や耐震安全上重要な施設に区分されているSクラスの施設は、活断層の上には設置してはならないことになっている。

「手引き」の「Ⅴ.建物・構築物の地盤の支持性能の評価」(解説)では、「地震を発生させうる断層(主断層)と構造的に関係する副断層についても、上記ただし書を適用する」として、主断層及び副断層の真上にSクラスの建物・構築物を設置してはならない旨を明記している。その理由は、地震動とは区別されて地表にズレを生じさせ、施設を破壊するからである。

3つのグループ分けを導入した場合、
(1)①主断層と②副断層と評価された場合は、その真上にある原発の運転・設置は不可能となるということか。

(2)③弱面の場合は、それが地盤にズレを生じさせる場合でも「影響の大小を評価して」、影響が小さい場合には、Sクラスの施設の真下に存在してもよいということか。

4.そうであるなら、③弱面と評価された場合には、活断層の真上に重要施設をつくってはならないという耐震設計審査指針や「手引き」の規定は、無視してもいいということか。

5.「弱面」などについて
(1)「弱面」の定義は何か。保安院の「検討の考え方」では、「①②ではないもの」としか書かれていない。「手引き」にも「弱面」という用語は出てこない。
「弱面」は、活断層(12万~13万年前以降に動いた断層)でありながら、その真上にSクラス施設を置いてもいいという概念なのか。
そうであれば、そもそも、活断層の定義そのものが意味を持たなくなるのではないか。
「弱面」が施設に弱い力しか及ぼさないという判断の根拠は何か。

(2)②副断層については、「周辺の活断層と構造的に関係することにより、地表部に従属的な変異を生じるおそれがあるもの」とされ、「検討の考え方」4頁の図では、主断層と直接的につながったものとなっている。しかし、主断層と直接的につながっていない場合でも、地震によって断層が動いて地表にずれを起こす可能性についてはどのように評価するのか。

要望事項

活断層を3つのグループに分けて、「弱面」という概念を導入することは、「耐震設計審査指針や「手引き」を骨抜きにするものである。
耐震安全上重要なSクラスの建物・施設の真下にある断層(破砕帯)が活断層と評価された場合には、耐震設計審査指針や「手引き」に従って、当該原発の運転・設置は許されないという基本原則を堅持すること。

http://www.foejapan.org/energy/news/120829.html