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六ケ所村議会、再処理中止なら「村外に燃料搬出」 「搬出」前提の覚書も存在(各紙)

2012-09-07 22:43:35

六ヶ所村の再処理工場の全景
六ヶ所村の再処理工場の全景


各紙の報道によると、青森県六ケ所村議会は7日、政府が原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理から撤退する場合、村内に保管されている使用済み核燃料などをすべて村外に搬出するよう求める意見書を全会一致で採択した。仮に搬出されれば、一部の原発では再稼働できなくなる事態にもなりかねない。


 同日、橋本猛一議長が野田佳彦首相と関係閣僚、三村申吾青森県知事らに意見書を送った。意見書は、核燃料サイクル政策を支える再処理事業は「村を二分する賛否両論が渦巻く中で苦渋の選択をして受け入れを決定した」と説明。同政策の見直しについて「立地村の意見を全く聞くこともなく、立地村の事情を全く無視して議論が進められており、不信・不安が募る」と強く批判し、再処理を堅持するよう求めている。




 政府が再処理をやめて使用済み核燃料をそのまま埋め立てる「直接処分」に転じる場合、再処理施設をたてた時に結んだ協定に反すると指摘。その際には六ケ所村で一時貯蔵する使用済み核燃料や放射性廃棄物を村外に出し、損害賠償を国に求めるという。




 六ケ所村には日本原燃の再処理工場や放射性廃棄物の貯蔵施設があり、これまでに約2900トンの使用済み核燃料や、ドラム缶約25万本の低レベル放射性廃棄物を受け入れてきた。青森県と六ケ所村は、再処理中止なら使用済み核燃料を直ちに搬出する覚書を日本原燃と結んでいる。全国にある原発に返送されると、九州電力玄海原発(佐賀県)などでは貯蔵容量を超えてしまう。




 施設には海外に再処理を委託していた約1400本の高レベル放射性廃棄物も保管してあり、今秋には英国から28本が返送される予定。六ケ所村議会は再処理中止ならこれらの搬入も認めない方針。輸送船の接岸拒否になれば、海外からの批判も免れない。




 民主党は6日、2030年代に原発稼働ゼロをめざす提言をまとめ、全量再処理を「全面的に見直す」と明記した。政府は来週にもエネルギー・環境戦略を決める方針。野田首相は7日の記者会見で「核燃料サイクル政策を支えていただいた青森県や立地自治体の意見もうかがっているところだ」と述べた。