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原発ゼロで電気代2倍の大ウソ(ゲンダイネット)

2012-09-08 13:45:50

志賀原発
<火力発電は低コスト>4日の「エネルギー・環境会議」でとんでも

志賀原発


ない試算が出た。2030年の発電量に占める原発依存度をゼロにした場合、電気代を含む家庭の光熱費が、10年実績(1万6900円)比の2倍になるというのだ。最大で月額3万2243円というから驚きである。

  家庭向け電気料金は、今月1日に平均8.46%の値上げをしたばかりだが、東電は「家庭向け電気料金は15.8%の値上げが必要になる」という試算も公表した。そんな予測をはるかに上回る数字である。

  政府試算は、さらに「太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及に約50兆円の累積投資が必要」だとか、「電力供給量の約3割が失われ、火力発電による代替で燃料費が年間約3兆1000億円増加する」とか指摘した。どうしても東電や国は「原発ゼロ」にはカネがかかると強調したいようだ。

  だが、こんなのは大ウソだ。立命館大の大島堅一教授(環境経済)が有価証券報告書をもとに1キロワットの発電にかかるコストを計算したところ、「原子力10.68円」「火力9.90円」「水力7.26円」という結果だった。原子力は最も高いのだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。

 「本当にヒドイ話です。30年の試算が2倍になるのは、福島の被災者への賠償金や全国54基を廃炉にする途方もないコストを入れているからでしょう。1日からの値上げ分にはこうした費用は入っていません。火力発電の燃料費とうたっているのは、言い訳に過ぎない。試算の数字は明らかにインチキです」

  国民は脱原発のコストを払わされるのではない。電力行政の失敗のツケを負担させられるのである。

 (日刊ゲンダイ2012年9月5日掲載)

http://news.infoseek.co.jp/article/08gendainet000175048