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茨城県取手市の中学校の学校検診で原発事故後、心電図異常が増加(各紙) 全国のホットスポットも要注意

2013-01-01 22:10:33

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toridelogo各紙の報道によると、茨城県取手市の市立小中学校で実施した学校検診で、心電図に異常がみられる児童、生徒の数が、福島原発事故後の2011年度から増加していることが民間団体の調査で明らかになった。同地域は福島第一原発事故によるホットスポットの一つとみられることから、民間団体は年始の同市の業務開始とともに本格的な調査を要請する予定。

今回の調査は、生活クラブ生協取手支部などの市民団体などが共同で実施した。対象は、取手市の小中学校の1年生で毎年5月に実施している。2012年度は1600~1700人が受診したとされる。今回の調査で精密検査が必要とされた子供は、2010年度までは最高で1・79%だったが、原発事故後の11年度は2・38%、さらに12年度は5・26%と急増している。

精密検査で心臓疾患や異常等が見つかった子供は、10年度までは最高0・71%。ところが、11年度は1・28%、12年度は1・45%と、こちらも増加している。さらに、12年度は「要精密検査」と判断されながらも、公表時点で追加の検査を受診していない子供が3分の1以上いる。このため市民団体は「受診者が増えれば2012年度の数値はさらに増加するとみられる」と推測している。

取手市や隣接する千葉県の柏市、我孫子市などは、福島第一原子力発電所の事故後に、起きた風と雨の影響で、各地で基準値を超える放射能汚染が発生した。福島からは一定の距離が離れているが、各地で除染が課題となっているが、今回の調査で、環境汚染だけでなく、健康にも影響が及んでいる可能性が出たといえる。安倍政権は旧民主党政権が示した脱原発路線を早くも見直し、原発の新増設を推進する姿勢を明らかにしているが、政治宣言で、実際に広がった放射能汚染の事実を隠ぺいすることはできない。

国民の不安を一掃するための、環境汚染調査、健康影響調査を、広域で実施し、徹底した安全性の確認が必要といえよう。取手市当局は、今回の民間団体による調査結果について、「データの有意性を確認した上で対応を考えたい」と、今後の対応を検討している。26年前に原発事故が起きたチェルノブイリでは、今も汚染地域には人が立ち入ることができないほか、子供の健康影響・被害が継続している。日本の放射能汚染の影響が3年足らずでなくなると考えるほうが無理なようだ。