|HOME
|現実味を増す電力会社の破綻 (古賀ブログ) 破綻は当たり前と考えるべし |
現実味を増す電力会社の破綻 (古賀ブログ) 破綻は当たり前と考えるべし
2013-02-08 12:24:23
<電力会社も普通の会社として会社更生法で>
原子力規制委員会が定める新たな安全基準の設定によって、電力会社が負担すべき金額が巨額になる。それが原因で電力会社が経営破綻することが現実の問題として浮上してきている。電力は、国民生活に欠かせないものだから、破綻はさせられないという意見があるが、これは間違いだ。
破綻と言っても、実際は再生である。普通の会社と同じで、会社更生法を適用して、関係者間の負担の分担を決めて、その後の再生を図ればいいだけのことである。ダイエーやカネボウもそうだったし、インフラという意味では、JALもやはり会社更生法で再生した。
電力会社の場合、少なくとも現状では競争がなく、顧客が逃げないという特質があるので、再生が最も簡単な類型に当たる。また、東京電力の場合は事故の被害者の債権が銀行の債権と同様にカットされてしまうからどうしようか、という迷いも生じたのだろうが、今回の安全基準の改定ではこういう問題もない。従って、会社更生以外の手続きを考える必要性はほとんどない。
ただし、電力の安定供給を確保するために、会社更生手続きに加えて補完的な措置を講じた方が安心して電力会社を破綻させて関係者の責任を問うことができるという面もないとは言えない。その場合は、特別法により、若干の措置を講じることは検討してよいのではないか。ただし、安定供給のために、株主や金融機関を守るべしというようなルールを作ると、東電のように市場による規律が働かなくなるので、そうならならない範囲にとどめることが必要である。
<東電は今も国民の税金で銀行に借金を返している>
破綻・再生の処理を行う場合、裁判所の関与の下に、会社経営陣の責任を問い、リストラなどの措置もとることと並行して、株主、債権者の順で負担を負うことになる。その結果、銀行等の債務が大幅に削減される。仮に政府が何らかの支援をする必要が生じた場合においても必要額がその分少なくなるし、電力料金もその分安くなる。東京電力の処理においては、この点が無視されて、現在も、銀行などに対する弁済が国民の税金を投入して行われているが、こうしたことにならないようにしなければならない。
仮に国の支援が必要となる場合は、一般税収の中から負担するか、何らかの形で電力消費者に負担を転嫁するか(現在の電源開発促進税あるいは新設される需要家を対象とする税でまかなうか、あるいは、電力料金に上乗せするなど)という選択の問題は残る。
<電力債(社債)がカットされると問題か>
電力会社の破綻が社債市場の混乱を生じさせるから破綻させられないという議論も聞かれるが、そもそも電力会社の社債は他の場合と異なり、法律で他の債権に優先されることになっている。だから、今の状況では、すぐに社債がカットされるということにはならない。
それに、よくよく考えてみれば、この制度は、他の新規参入者との関係で著しく公平を欠くので、早急に廃止すべきである。普通の会社と同じに扱えばよい。その結果、原発を保有している電力会社は危険だということで社債が売れにくくなり(つまり、金利が上がる)、資金調達コストが上昇する可能性が高いが、それは原発本来のコストであるので、それが市場によって評価されることは好ましい現象である。
<今まで電力会社の破綻が想定されなかったのがおかしい>
電力会社が破綻する場合は、上記のような事例だけではなく、本来は、一部自由化が行われた時以降十分想定されていたはずだ。家庭向け以外は、本来は自由競争が行われてしかるべきなのだが、電力会社間の事実上のカルテルにより、実際にはほとんど競争が生じなかった。そのため、電力会社の破綻について議論されることがなかったのである。
今後は、発送電分離や家庭向け小売の自由化などの電力システム改革が行われるまでの間でも、少なくとも大口需要先向けの市場では実質的な競争が行われるような措置を取るべきである。競争が実際に生じれば、それが原因で電力会社が破綻することもあり得るので、特に、破綻時の原発の安全確保策を中心に必要な対応策について早急に検討する必要がある。
(古賀ブログから一部修正の後、抜粋)

































Research Institute for Environmental Finance