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廃炉費用以外に 原発維持で最低11兆円 さらに別途 年4000億円超支出も(東京) 「コスト高の原発」を証明

2013-03-19 13:34:40

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fukushimaPK2013031902100035_size0使用済み核燃料の再処理や最終処分のための電力会社の積立金など、今後も原発を維持するために必要な費用は、少なくとも十一兆円を超えることが東京新聞の調べで分かった。ほかに規制機関の人件費や原発の保険料など毎年四千億円以上が必要になる。現時点で判明している分を積算したもので、費用がさらに増えるのは必至。いずれも、電気料金や税金として国民の負担となる。


 東京新聞は、原発があるため必要な費用を選び出し、電力会社や経済産業、文部科学両省などに必要な金額を確認し集計した。政府は、原発の個々の費用については費用を説明するが、国民が全体でどれだけ負担するかは一切公表していない。




 費用は、年限の決まった積立金などと、予算や税金など毎年支払うものに分かれた。




 計十一兆三千八百八十九億円に達する積立金では、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル関連費が大きな割合を占めた。電力各社は、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場が使命を終えて解体される予定の二〇八四年までに十一兆円を積み立てる必要があるが、六兆円以上は今後積み立てる。




 再処理後に出る高レベル放射性廃棄物の最終処分や廃炉のための積立金は、原発を維持するしないにかかわらず必要だが、大幅に不足している。




 一方、毎年必要な費用は四千二百二十九億円で、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営などに携わる日本原子力研究開発機構への運営費支出が最も多く、原発の立地自治体への交付金も総額で一千億円を超えていた。




 原子力規制委員会が策定する新しい規制基準に対応するため、全体の費用はまだ膨らむ可能性が高い。新基準への対応費用は、現時点で電力各社が公表している数字で、規制委が新基準に盛り込むと決めた独立電源や冷却装置を備えた第二制御室、主要配管の多重化への対応は各社ともまだ算出していない。




 また、電力各社は原発ごとに最大千二百億円が支払われる損害賠償保険に加入しているが、東京電力福島第一原発事故の賠償額が兆円単位になることを考えれば、現行額では全く足りない。保険料総額は各社合わせて二十八億円だが、はね上がるのは間違いない。 (桐山純平)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013031902000129.html