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復興庁幹部のツイッターの本当の問題 彼は決して異常な人物ではない。むしろ一般的な官僚だ(古賀ブログ)
2013-06-15 19:14:59
復興庁に出向している総務省のキャリアがツイッターで暴言を吐いたということが毎日新聞などに大きく報じられた。ちょっと見てみたが、確かにいくつか、とんでもない表現でツイートしている。
「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席。不思議と反発は感じられない。感じるのは相手の知性の欠如に対する哀れみのみ」「今日は懸案が一つ解決。正確に言うと、白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意しただけなんだけど、こんな解決策もあるということ」などのツイートが常軌を逸しているとして、非難の嵐となった。この官僚は、参事官だというから、課長クラス。立派な管理職だ。殆ど言い訳できない発言だから、処分されても仕方ないだろう。
多くの方々は、こんなおかしな官僚がいるから、まじめにやっている公務員まで色眼鏡で見られてしまう、というように受け止めるかもしれない。しかし、誤解を恐れずに言えば、この参事官の発言はごく普通の官僚の発言であって、全く驚くようなものではないというのが、私の感想だ。彼の発言はごく普通の官僚の気分を見事に代弁しているとさえ言える。
●官僚の実態がつぶやかれてはいるのだが
例えば、国会議員が質問する際、通常は前日までに質問内容を通告する。その内容に従って、答弁を書く担当課が決まるのだが、その割り振りの結果、自分の担当の質問があると、その日はかなり遅くまで作業を強いられる可能性がある。内容の調整に手間取り、徹夜になることも珍しくない。従って、国会の質問が自分の担当になることを官僚はとにかく嫌がる。
時には、質問の割り振りをめぐって押し付け合いになることもある。そういう雰囲気を一番端的に表しているのが。「被弾」という言葉だ。これは国会の質問が割り振られることを指す。「今夜も被弾なう。」などと使っている。
また、「朝7時からの答弁レクで大臣からダメ出しをくらい、昼食を食べずに想定を作り続けたけど、本番では空振りだったという不幸自慢。」などというツイートを見ると、官僚の多くは、共感するところがあると思うだろう。
国会の質問が入り、朝までかかって答弁を作ったのに、その内容に大臣が「NO」と言って、その答弁の時間が午後だとすると、昼休みも潰して新しい答弁を作らなければならない。関係する課が複数ならその間の調整も必要だ。 やっとの思いで答弁を作って届けたと思ったら、結局国会ではその質問は出なかったというケースもよくある。そんな時、官僚は、大臣を恨むというより、質問者を恨む気持ちになりがちだ。被害者意識の塊になる人も多い。
「労働者の党が通告を出さないため、多数の労働者が深夜残業なう」というツイートは、おそらく民主党、または、それ以外の組合と関係の深い政党の議員が、審議前日の夜になっても質問内容の通告をしてくれないので、どんな質問が入るかわからず、省内の全ての課で(場合によっては、全ての省庁で)質問が入った時に備えて職員が待機するという事態になっていることをつぶやいたものだ。もちろん、その議員に対しての非難の気持ちがこめられている。こうして、官僚の中には、国会議員、特に野党議員に対する敵意に似た気持ちが芽生えてくるのである。
「我が社の大臣の功績を平然と「自分の手柄」としてしまう某大臣の虚言癖に頭がクラクラ」というのもよくわかる。「我が社」とは自分の省庁のこと。彼の場合は出向している復興庁のことだ。その大臣だから根本匠大臣が頑張って挙げた業績をあたかも、自分がやったかのように振舞う他の役所の大臣がいるということだ。
このツイートを見る限り、彼は、根本大臣のことを嫌ってはいない。むしろ応援したいと思っているのではないだろうか。根本氏は、政治家としては珍しいのだが、まじめ過ぎて、パフォーマンスが苦手だ。復興庁と関係の深い仕事をしているどこかの大臣がうまく立ち回って、自分の手柄であるかのようにマスコミにしゃべって、また、それをどこかの新聞社がよいしょ記事を書いたのだろう。部下であるこの参事官は、それに憤りを感じて、「頭がクラクラ」とつぶやいた。
こうしたツイートは、むしろ官僚の実態を国民に知らせる上では有益だったのかもしれない。
●だから公務員改革が必要だ
もちろん、だからと言って、発言内容が正当化されるわけではなく、被災者支援をする人達を「左翼のクソども」と呼ぶ感覚、被災自治体のことを馬鹿にする態度、問題を先送りして懸案解決という姿勢などは厳しく批判されて当然だ。しかし、それは、この参事官だけの問題ではない。
多くの官僚が似たり寄ったりの発言をしているのを私は数多く目にしてきたし、現に復興の仕事がずっと停滞しているのを見ても、その役人気質は基本的に変わっていないな、と思う。もちろん、一部には、高い志をもって職務に励んでいる公務員もいるが、そういう人達だけではどうにも変えられない大きな壁ができているのは厳然たる事実だ。だからこそ、抜本的な公務員制度改革が必要なのだ。
そして、復興の問題、とりわけ原発事故に関わる問題については、官僚だけでなく、自民党と経産省全体のサボタージュも厳しく追及されなければならない。彼らが、何とか先送りして、被害者賠償や支援のコストを引き下げようとしている限り、復興庁や他省庁の官僚がいくら頑張ろうと思っても限界がある。それどころか、頑張ると、かえって岩盤のように強固な原子力ムラの返り討ちに遭う可能性さえあるという現実をまずは変えなければならない。
それと同時に、国会の審議やそれに関する一連の作業の非効率性については、国会議員もよく反省して改善をすべきだろう。そういう意味では、この参事官には、自分の名前だけではなく、できれば、問題のある議員の名前を出してツイートして欲しかった。自分の名前だけ出して、相手の名前を出さなかったのは気が小さかったからか、それともそういう「偉い」人に対してだけは、敬意を忘れなかったのか。
●「ビールを飲む」は何を物語っているのか
ところで、これらのツイートの中に、今指摘したこととは質の異なる問題があると思われるツイートがあった。「某党本部でビールを飲むなど」というツイートと「今日の最も重要なお仕事は某党本部の冷蔵庫に缶ビールを補充するなど。その大半は自分で消費するんですが…」という別の日付のツイートだ。
これだけでは良くわからないが、この参事官は、某党本部でビールを飲むことが多いということが推察される。どこかの政党の本部に行って、たまたま夜で、ビールをご馳走になったと考えれば、それ自体は、そんなに大きな問題ではないかもしれない。しかし、気になるのは、その政党の本部にある冷蔵庫に缶ビールを補充したというところだ。こんなことを身銭を切ってやっていたとは思えない。そのためのお金はどこから出たのだろうか。
ずっと昔には、役所の関係団体にビール券を供出させるということがごく普通に行われていたが、今時、そういうことは考えられないのだが。それとも、身銭を切ってビールを届けるほど、その政党とズブズブの関係にあったのか。もしかすると、その政党の本部でビール片手に同党の国会議員と飲みながら、そこでの会話をツイートしていたわけではないと思うのだが。

































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