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再稼働前に「核のゴミ」の上限を決めよ 自民“脱原発”の旗手、河野太郎氏に聞く(東洋経済)

2013-07-19 20:16:47

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kounotaroimg_a1bb140d6bb252c0c4349c53414f442b55643原子力規制委員会によって原子力発電所の安全性を審査する際の新規制基準が策定され、7月8日から施行された。その当日から電力会社による審査申請も相次いでおり、原発が再稼働に向けて動き出している。

 

 


一方、東京電力福島第一原発では汚染水問題が一段と深刻さを増し、事故収束のメドは立たない。事故原因の検証も十分なされたとはいえず、そうした中で東電が柏崎刈羽原発の早期再稼働申請の方針を決定したことに対し、地元をはじめ批判が高まっている。

 

 

原発再稼働と東電問題について、自由民主党内での“脱原発”論者としても知られる、河野太郎衆議院議員(副幹事長)に話を聞いた。(聞き手:中村 稔東洋経済 記者)



東洋経済 記者





 

 


核燃料サイクル成り立たないとの見方、党内でも広がる


――新規制基準が決まり、原発が再稼働に向けて動き出した。

原発を再稼働すれば、数年以内で使用済み燃料プールがいっぱいになるところが出てくる。今まではリラッキング(燃料の間隔を狭めてプールの貯蔵容量を増やす工事)で何とかなるとしてきたが、それではどうしようもなくなった。青森県むつ市で建設中の中間貯蔵施設も日本原電と東京電力だけしか使えない。

そうなると敷地内に空冷で暫定保管せざるをえなくなる。そういうことを含め、事前に住民との間で合意を取りつける必要がある。基本的に、核のゴミはどうするか、どこまで増やすのか、どう始末するのかを再稼働前に議論すべきだ。

政府は、表では核燃料サイクル堅持というお題目を唱えている。が、核燃料サイクルが成り立たないという見方は、3.11以降、自民党内でも広がってきている。新人議員からベテラン議員まで確実に増えている。

高速増殖炉もんじゅは安全文化もなっていないということで使用停止命令が出た。もんじゅは耐用年数に近づいており、高速増殖炉はもはや赤信号といっていい。

プルサーマル(プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を通常の原発で利用すること)をやるためにMOX燃料の工場を造ったら、兆の単位でお金が出ていく。かけたコストに見合うウラン燃料の節約にはならない。まったくの無駄遣いだ。日米原子力交渉で勝ち取ったというメンツでやってもらっては困る。ちゃんと理屈で議論すべきだ。

米国は、日本に再処理をやめてほしいと考えている。日本がやるから韓国や南アフリカもやりたいと言うなど、“ドミノ”を懸念している。日本はもはやメンツだけで再処理路線を継続とはいかなくなっている。

核のゴミの問題は今まで見て見ぬふりをしてきたが、福島原発事故以降、自民党もそれができなくなった。かつての与党時代は完全に見ないふり。通産官僚も自分がやめた後の話だと言っていた。しかし、最近入省した人は、自分がやめる前に問題になるのがわかっているから、議論の必要性を感じている。

 

使用済み燃料は基本的に消費地が責任を持つべき


 

今ある1万7000トンの使用済み燃料をどこまで増やすのかを決めれば、どこまで原発を動かすかが決まっていく。最終処分(地層処分)するまで使用済み燃料をドライキャスク(使用済み核燃料を保管するための金属製乾式容器)で保管するという日本学術会議の案で行くならば、暫定保管の上限を決めて、そこまでは原子力を動かすが、そこから先は再生可能エネルギーなどへ移行するプランをはっきりさせる必要がある。

廃炉をどうするか、原発をやめたあとの地域振興をどうするか、についてもその間にきちっと決めなくてはならない。地域に対して約束した“手形”を落とせないからと、都合悪いことに目をつぶるのではなく、国策に協力してくれたのだから、国策が変わっても地域には迷惑をかけませんとはっきり言って、きちんと手当をする必要がある。

――使用済み燃料はどこに保管すべきか。

原則として消費地だと思う。発電電力の消費量に応じて消費地が責任を持つ。ただし、消費地に置く場所がないというならば、きちっと財政的手当をしたうえで、他に置いてもらう。

 

――(消費地である、河野議員の)地元の神奈川県で納得が得られるだろうか。

いろいろ議論はあるだろうが、消費地は知りませんというわけにはいかない。原発の敷地内に置くのなら、消費地がそれなりの財政的措置を取る必要があろう。

 


――使用済み燃料の総量の上限はどう決めるべきか。

そこは国民合意による。天然ガスや再生可能エネルギーをどこまで増やせるか、あとは需給調整でデマンドマネジメントがうまくできれば、需要を標準化して、ピーク電力量を減らせる。今の電力供給体制では需要管理がなかなかできないので、自由化、地域独占の廃止をもっと早く前倒しでやるべきだ。

 

東電には原発を動かす資格はない


 

――基本的には長期的に少しずつ脱原発を目指すという考えか。

そうだ。民主党は2030年代に原発ゼロの一方で再処理は続けると言ったが、考慮の対象にならない。どこかで目標を決めて、省エネとデマンドマネジメントをしっかりやり、再生可能エネルギーを増やして、それでも足りない部分は天然ガスで補っていくといった絵を描くべきだと思う。

新増設はしない。現存の原発でもたとえば、日本原電の敦賀1号のような老朽原発や敦賀2号のような活断層の上にある原発、福島第一と同じマークⅠ型のもの、さらには東京電力には動かす資格はないだろうから、そういうものは廃炉にして、残ったものの中で安全性と必要性の高いものから再稼働をさせる。どこまで動かすかは国民合意で決めたゴミの総量で管理する。その間に原発依存をしなくて済む方策を考えるべきだ。

今後、シェールガスが輸入される。また、北方領土問題を解決して、ロシアのシベリア、サハリンからパイプラインを通じて輸入するなど、天然ガスの供給先を多様化する。そうすればコストダウンにもつながる。

需要サイドでも米国のようにいろいろなビジネスを生み、成長戦略として考える。おそらく携帯電話並みにいろいろな新規ビジネスが立ち上がるのではないか。だからこそ自由化は前倒しすべきだ。

 

――安倍政権は原発輸出を推進しているが。

これは国ではなく企業が輸出するわけで、本当に能力があるかは正直わからない。一つ間違えれば、シーメンスのようにアレバと組んでフィンランドで原発を造ったが、失敗して原発事業から撤退するという羽目にもなりかねない。原子力協定が結ばれたからといって、すぐにビジネスにつながるわけではない。

 

東電は法的整理し、株主や金融機関の責任を追及すべき


――東京電力の再生のあり方は。

東電の最前線の人たちは福島での廃炉作業にしろ、送電線の作業にしろ、非常に頑張っていると思う。このままいくと、電力が自由化されて、地域独占もなくなり、新規参入もしやすくなる。

しかし、今の形態の東電は、ゾンビ企業として、裏から入れた税金を返すだけの会社にすぎない。自由化になっても新しい展望が開けるわけではない。やはり、企業としての東電は法的整理で破綻処理をすべきだろう。株主や金融機関の責任をちゃんと追及して、経営陣も総退陣させ、新しく生まれ変わる必要がある。場合によっては地域ごとに分割したっていい。

また、廃炉をどうするか。これは東電に限らず、電力業界全体の問題として大きな絵を描かなくてはダメだ。国が原子力を引き受ける代わりに、送電網を売却させるぐらいの大きな転換を考えるべきではないか。将来は法的分離だと言っているが、すっぱり所有権分離をして、明確に発送電を分離する。いろんな企業が新規参入しても、利益相反がなく、市場で戦える状況を担保する必要がある。東電でさえ、事故を起こせばつぶれるという原子力発電事業を、民間企業がやっていくのは限界が見えてきたのではないか。

原子炉メーカーなどは、もうけは自分の懐で、事故が起きたら国民の懐から賠償金を支払う。そこはちゃんと製造物責任を適用すべき。必要なら保険に入ってもらう。そうした保険料も含めて原発のコストなんだと思う。

 

――東電を法的整理すれば金融市場など大混乱するという見方もある。

 

ゾンビ企業の東電には、すでに当事者能力はない


 

社債については一般担保の範囲内で保証されている。3月に銀行が無担保で緊急融資した分については、国は銀行独自の経営判断だと言っている。そこは銀行の経営陣が責任をお取りになるべきものだと思う。もし国が何らかの保証をしていたのなら、補償すべきだが、国は閣議決定で明確にそれを否定している。金融機関の屋台骨が揺らぐというのなら、公的資金を投入して経営責任を取っていただく。混乱を来す材料はないと思う。

 

――法的整理にすれば、被災者への賠償・除染費用の大半は国が負担することになる。

現状でも国が後ろから税金を入れて払っている。東電という仮面をかぶっているかかぶっていないかというだけだ。むしろ破綻処理をやれば、株主に対しては100%減資となり、金融機関への責任追及ができるので、その分、国民負担は減る。東電が生きていれば、東電が負担といっても、税金が支えているだけ。もしくは電力料金で利用者が払い続ける。

被災者の債権は国が守らざるをえない。時効を延ばす議論もしていかなくてはならない。東電に当事者能力がなく、被災地を復興しなくてはならないのだから、国の責任論うんぬんではない。

 

――財務省の抵抗が予想されるが。

財務省が抵抗するのはわかるが、それは政治の判断だ。(東電に)何十年もかけて返せといって、ゾンビ企業には優秀な人は残らない。

 

http://toyokeizai.net/articles/-/15720