一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF

 

田中俊一原子力規制委員会委員長は２１日、記者会見し、東京電力福島第１原発の地上タンクで発生した放射能汚染水漏れについて「（ほかのタンクも）油断はできない。一つ起これば、そういうことが起こることを前提にして注意深く対応する必要がある」と述べた。

一昨年3月の事故発生から2年半が立つが、これまで規制委の承認の下で東電が進めてきた、地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」計画や、約６０種類の放射性物質を取り除いて処理する多核種除去設備（ＡＬＰＳ）の運用などはことごとく機能していない。高濃度汚染水をためるタンクの増設についても、規制委はこれまで増設を承認してきており、今回の発言は、他人事のように聞こえる。

今回の汚染水漏れは、基本的に東電のでたらめ処理がバレた結果だが、規制委自体のこの間の監督責任も極めて重い。にもかかわらず、こうした「軽い発言」を繰り返すのは、そもそも「原子力ムラ」の住人である田中氏には、規制委員会の役割が分かっていないのではないか。