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九電会長「信頼できる会社」 強気会見2時間超 (西日本新聞)居直る「松尾」

2011-07-28 17:50:46

記者会見を終え、会場を後にする九州電力の松尾新吾会長(奥)と真部利応社長=27日、福岡市中央区
記者会見を終え、会場を後にする九州電力の松尾新吾会長(奥)と真部利応社長=27日、福岡市中央区


やらせメール問題の責任を問われる立場にありながら、発言は強気だった。「原子力に関して九州電力はとりわけ信頼できる会社だと思われている」。メール問題の第三者委員会が発足した27日、九電の松尾新吾会長は会見で断言。真部利応(まなべとしお)社長と自らの進退も「白紙」と強調した。一方、経営トップ2人と並んだ第三者委の郷原信郎(ごうはらのぶお)委員長は「大震災以降も変わらない九電の体質に問題の本質がある」と、問題の背景を指摘した。

 九電本店内の会議室。会見開始8分前、一番先に姿を現したのは松尾会長だった。会長の会見出席は異例。100人を超す報道陣を前におうような笑みを浮かべた。

 「今回の件の関係者、取締役の処分については第三者委員会の評価を踏まえ、あらためて取締役会で審議します」。社長らの進退について口火を切ったのも、松尾会長だった。

 隣には対照的に疲れた表情の真部社長。辞任について「私個人の思いは決まっている」。一方、思想家内村鑑三の「天の声に従って行動せよ」という言葉を引いて「天の声は世論なのか、大臣なのか、取締役会なのか。何が天の声なのか考えたい」とした。

 これを聞いた松尾会長は「社長個人の意思と、それが通るか通らないかは別。(進退は)取締役会の専決事項」と断言。「辞めないという結論もある」と強調した。

 会長は社長をかばい、社長は会長に一任する。2週間前、やらせメール問題を「社会常識」に反すると総括した真部社長の会見とは一変。この日のトップ2人には、責任の自覚は見えなかった。

 真部社長の辞任届提出を松尾会長が明かしたのは、会見が始まって1時間半が過ぎてから。一存で預かり、他の取締役には知らせていないとも述べた。ある取締役によると、この日午前の取締役会では、議長の松尾会長から社長欠席の理由説明はなく、社長や自身の進退にもひと言も触れなかったという。

 「(福島第1原発)事故前の感覚で対応したところに問題の本質があるのではないか」。メール問題の原因について郷原委員長が個人的見解を述べる間、真部社長はうつむいてノートをめくり、松尾会長は前を見据えていた。耳を傾けているのか、いないのか。

 記者が重ねて問うた。「辞任届を自分の一存で伏せているような会社に、原発の運転を任せて大丈夫と住民は考えると思うか」。松尾会長は「九州電力はとりわけ信頼できる会社だと思われている」と言い切った。

 2時間15分が過ぎるころ、松尾会長は真部社長に耳打ちし、間もなく会見は終わった。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/255581