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福島原発の放射性物質漏れ事故の東京電力、財務諸表では地震リスクや放射性物質漏れリスクを明示せず(FGW)

2011-03-13 01:11:17

東日本巨大地震の発生に伴って、東京電力の福島第一原子力発電所と同第二発電所が原子炉内で爆発が起きるとともに、日本初の炉心溶融が生じた。同社はこれまで有価証券報告書で、今回のような地震リスク、それに伴う事故リスクについては明確に開示していない。

 今回の事故は、原発の事故・トラブルを示す国際評価尺度(8段階)によると、最上位からは4番目に当たる「レベル4」相当になるとみられる。これは1999年の東海村臨界事故とほぼ同じ水準。1986年に起きた旧ソ連・チェルノブイリ原発事故の際はレベル7と過去最高だった。

 東京電力は有価証券報告書(2010年3月末http://www.tepco.co.jp/ir/tool/yuho/pdf/201006-j.pdf)で、「事業等のリスク」を列記し、その中で「自然災害、設備事故、テロ等の妨害行為などにより」電気の安定供給をできなくなる可能性があることを指摘しているが、放射性物質漏れ等による周辺住民影響については、言及していない。また地震への対応については、2007年7月の新潟県中越地震で同社の柏崎刈羽原子力発電所が被災し、複数のプラントが運転を停止したことを指摘しているが、その影響については「原子力設備利用率」の低下への影響については言及しているものの、住民や周辺環境への影響、さらに他の原発での同様のリスクの有無については触れていない。