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復興予算に調査捕鯨費 水産庁23億円 基地・石巻被災理由に(東京新聞)どさくさ紛れ

2011-12-14 18:14:05

東日本大震災からの復興に向け十一月に成立した第三次補正予算に、南極海での調査捕鯨にかかる事業の経費約二十三億円が組み込まれていたことが十四日、分かった。調査捕鯨の予算はこれまで、年間約五億~九億円。二〇一一年度は当初の約七億円に今回の約二十三億円を加えて約三十億円と従来の最大六倍になっている。


 予算要求した水産庁は、全国有数の捕鯨基地の宮城県石巻市が大きな被害を受けたことを理由に「調査を安定的に実施し、石巻周辺の復旧・復興につなげる」とするが、被災地への支援といえるのか疑問視する声が出ている。




 予算の投入先は、水産庁から補助金を受けて調査捕鯨を実施している財団法人「日本鯨類研究所」など。水産庁によると、予算の主な使途は、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害活動で今年二月、調査捕鯨が中止に追い込まれて大きく落ち込んだ、日本鯨類研究所の鯨肉販売収入の補填(ほてん)分、それと妨害活動への対策強化費用だ。




 今回初めて南極海に派遣する監視船や乗り組む海上保安官の装備の費用などは含まれるが、被災地のインフラ整備などは対象外という。同庁国際課は「インフラが整備されても鯨肉がなければ加工食品などは作れない。地元の加工工場や飲食店に鯨肉を使ってもらい長期的には商業捕鯨を復活させることが復興になる」と説明する。




 ただ、石巻市によると、市内に加工会社は数社あるもののいずれも工場が被災し操業を停止したまま。捕鯨会社一社も船や解体所を津波で流され、一部施設を改修して沿岸付近での捕鯨を継続している状態という。




 環境保護団体「イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク」の倉沢七生事務局長は「鯨肉の在庫がだぶついているのは周知の事実で、今新たに補給が必要とは考えられない」と指摘。「中止すれば妨害活動に負けたことになるというメンツの側面が強いと思う。赤字を丸抱えし、微々たる鯨肉を得ることが復興につながるのか、かなり疑問だ」と話している。




 日本鯨類研究所などは今月六日、調査捕鯨のため船団を山口県の下関漁港から出港。九日には、シー・シェパードなどによる妨害差し止めと接近禁止を求め、米ワシントン州の連邦地裁に提訴したことを明らかにした。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121402000191.html