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丸紅、「脱石炭火力事業」方針を公表。新規石炭火力事業は原則停止、2030年には石炭火力保有発電量を半減。ただ超々臨界圧発電は「例外適用」と位置づけ(RIEF)

2018-09-19 16:46:07

marubeni1キャプチャ

 

 大手商社の丸紅は18日、「石炭火力発電事業及び再生可能エネルギー発電事業に関する取組み方針」を公表した。丸紅は日本企業でもっとも多くの石炭火力発電事業をグローバルに展開していることから、環境NGOやESG投資を重視する欧米の機関投資家等から懸念が示されていた。新方針では、①新規石炭火力事業には原則取り組まない②石炭火力発電事業によるネット発電容量を2030年までに半減させる③再エネ発電を2023年までに倍増させるーーなどをうたっている。http://rief-jp.org/ct4/82807

 

 丸紅は、今回の方針について、「気候変動は人類共通の重要課題」と位置づけ、丸紅の事業や丸紅を取り巻くステークホルダーにとっても影響が大きく、早急に取組むべき課題、との認識を示した。そのうえで、現在、グローバルな電力プレイヤーとして約3GWの発電容量を抱えるが、2030年までに半減させる「脱石炭火力」のプロセスを示した。

 

 ただ、「新規石炭火力発電事業には原則として取組まない」とする一方で、現在、BAT(Best Available Technology)としてOECD等が認める超々臨界圧発電方式(USC)を採用し、かつ日本政府と案件実施国の国家政策(電力安定供給、貧困・雇用対策、経済成長策)に合致する場合は取組みを検討する場合もある、としている。

 

 再エネ事業については、現在保有する電源のうち再エネ電源の比率は約10%。これを2023年までに約20%へ倍増させることを目指すとした。また再エネ電源比率が約80%を占める英子会社のSmartestEnergy社などをはじめとして、電力卸売・小売業における再エネ電源の取扱いを拡充する、としている。

 


 こうした新方針の達成に向け、多様なステークホルダーとの適切な連携・協働に努め、目標に対する進捗状況については、積極的に情報開示していく、とも述べている。

 

 丸紅はグローバルに発電事業を展開しており、環境NGOによると、丸紅が世界9カ国で進める新規の石炭火力発電所の建設計画を含む発電事業の合計は13,620MWに上る。石炭火力事業者としては、日本でトップで、世界でも第11位の計画規模を有する事業者とされている。

 

 丸紅の新方針に対して、環境NGOのFOEJapanや気候ネットワーク(KIKO)などは、「世界各地の批判や声に耳を傾け、世界の脱石炭の潮流に乗ることを決意したものとして、今回の方針発表を歓迎する。特に新規の石炭火力発電事業からの原則撤退方針に加えて、既存の石炭火力発電容量の総量削減を打ち出した日本企業は初であり、画期的。今後、この方針を速やかに実践し、それを加速することを求めたい」と評価し、石炭火力発電事業に関わるJ-Powerや住友商事などの追随を求める声明を出した。

 

 ただ、USCついては原則の適用対象外とする可能性を述べていることに対しては、「例外規定を設けている点は問題がある。高効率の石炭火力発電設備であってもパリ協定と整合しないことは明確であり、この例外規定は方針自体の意義を無効化しかねない。例外規定を削除することを要請する」と求めている。

 

 丸紅が主導するインドネシアでのチレボン石炭火力発電所増設計画は、住民が反対運動を展開し、訴訟になっているが、同発電所はUSC式での増設。このため、今回の方針はチレボン事業の継続を宣言したことにもなる。http://rief-jp.org/ct4/82848

https://www.marubeni.com/jp/news/2018/release/00036.html

http://sekitan.jp/jbic/2018/09/18/2983