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放射性物質:ダム底の泥に 雨で川へ流れ濃縮か 福島(毎日)

2012-03-14 12:23:14

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阿武隈川中流域にある発電用の「蓬萊(ほうらい)ダム」(福島県二本松市、福島市、貯水量約380万立方メートル)の底の泥に大量の放射性セシウムが蓄積していることが13日、文部科学省の調査で判明した。付近の貯水池と比べ10倍の濃度だった。東京電力福島第1原発事故で土壌に蓄積したセシウムが、雨で土と一緒に川へ流れ込み、ダムでせき止められて濃縮したとみられる。

 同省の委託で調査した恩田裕一筑波大教授(水文学)が同日のシンポジウムで報告した。恩田教授は昨年7~8月、原発の西北西約60キロにある蓬萊ダムの底の泥を深さ20センチまで採取、乾燥後のセシウム濃度を周辺の4カ所の貯水池の泥と比べた。その結果、蓬萊ダムの泥は1平方メートル当たり約3000キロベクレルで、原発から半径20キロ圏内の警戒区域内の土壌汚染濃度に相当した。他の貯水池の同200~400キロベクレルに比べ約10倍あった。

 恩田教授によると、蓄積した土壌に含まれるセシウムは再び水に溶け出しにくく、下流の水を飲用などに使うのには問題ないという。ただし、「ダム湖の魚などに影響する恐れがある」として、調査を続ける。

 ダムを含む阿武隈川を管理する国土交通省東北地方整備局(仙台市)の担当者は「洪水時にダムから下流へ土壌が流出する恐れもあり、いずれは除染をしなければならないが、まだ検討していない」と話す。

 また、土壌中のセシウム濃度が高いほど、下流域の河川中のセシウム濃度が高くなることも分かった。大半のセシウムは、直径0.1ミリ以下の細かい「浮遊砂」に付着して流れていた。降雨や水田の代かきが原因で流出したとみられる。【野田武】

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