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大飯原発再稼働 無責任すぎる拙速判断(琉球新報)火力発電の7割稼働で供給不足は解消

2012-03-27 11:13:02

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これで納得できる国民はいるだろうか。原子力安全委員会は大飯原発3、4号機について、関西電力が実施した安全評価(ストレステスト)を妥当とする原子力安全・保安院の審査を了承した。これを受け政府は週明けにも再稼働へ向け関係閣僚が協議し、安全性を確認するという。拙速の極みだ。政府は名実ともに安全を重視すべきだ。


 それにしても原子力安全委員会の姿勢は分かりにくいことこの上ない。1次評価は再稼働にお墨付きを与えた感があるが、班目春樹委員長は「総合的な評価としては不十分だ」と述べた。それなら1次評価に何の意味があろう。
 23日の臨時会議は事務局が資料を読み上げただけで、5分で終わった。保安院の審査後、外部の専門家を交えた検討会を5回開いたというが、国民の目の届かない密室で結論を出したも同然だ。
 傍聴者から「茶番だ」と怒号が飛んだというが、当然だろう。利権にあずかる原子力ムラの人々だけで稼働を決め続けた末、深刻な原発事故を引き起こしたという反省があるとは、とても思えない。
 福島第1原発事故後になされた安全対策は緊急時の応急措置だけだ。昨年末をめどとして政府が提出を求めている2次評価もまだ出ていない。既存の原発に、最新の知見に基づく安全対策を義務付ける関連法案は国会で審議入りすらしていない。無い無い尽くしだ。
 世論調査で8割が脱原発を支持する中、国民世論を押し切って再稼働するにしては、あまりに根拠薄弱だ。こんな状態で再稼働しようとするのは、原子力安全委員会も政府も無責任すぎる。
 東京電力の柏崎刈羽原発6号機が定期検査に入った。北海道電力の泊3号機も5月停止の予定で、原発稼働ゼロが目前だ。原発が不要と実証される前に再稼働しようと、政府も電力会社も焦っているように見える。
 関西電力は、再稼働しないと夏場に13・9%の電力不足になると述べている。他の電力各社も同様だ。だが専門家は、設備容量からすれば火力発電所を7割稼働させれば供給は間に合うと述べている。供給不足を喧伝(けんでん)する前になぜ原子力以外の発電をもっと稼働しないのか。説得力ある説明を国民は聞いていない。
 今からでも遅くない。政府は腹を据え、脱原発へ向けて大胆にかじを切るべきだ。

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