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福島第一原発のセシウム137はチェルノブイリの85倍以上(Kaleidoscope)

2012-04-10 11:27:42

 「…………チェルノブイリの85倍以上」。

大変、ショッキングなタイトルです。

 これは、米国放射線防護審議会(NCRP)の正確なデータを基に、使用済み燃料の世界的な専門家、ロバート・アルバレス氏が計算した数字です。

2012年3月26~27日 ソウルで開催された核セキュリティ・サミット

 前の記事では、参院予算委員会の公聴会で、公述人として国会議員の質疑に応じた元スイス大使、村田光平氏たちによる、福島第一原発事故収束に向けての、さまざまな政府への働きかけについてご紹介しました。

 その村田光平氏が、日本と世界を救うため、福島第一原発の4号機建屋の使用済み燃料プールについての危機的状況を、多くの海外の政治家、官僚たちに訴え続けてます。

 この記事は、村田光平氏と協力し、世界中の著名な核科学者と連携を取って、一切のしがらみとは無縁の「完全な独立評価チーム」の設置を訴えている元国連職員・松村昭雄氏のブログからのものです。

 独立評価チームとは、机上の空論をもてあそぶ人たちのことではありません。

 どの組織、機関からも一切の干渉を受けることなく、福島第一原発の事故収束に向けて、正確な構造計算や、リスク低減にかかるコストの算定、現場の勇士たちの健康管理等々まで、冷静かつ客観的に評価し、確実で安全に工程を組み立てる清廉で世界的なエキスパート集団のことです。

 当カレイドスコープにも、幾度となく連絡をいただいております。

崇高なお二人の日本人のご尽力に深く感謝いたします。

 当然、当事者の私たちが、このまま日和見を決め込んでいていいわけがありません。


 福島第一原発:

セシウム137は、チェルノブイリの85倍より多い

Fukushima Daiichi Site: Cesium-137 is 85 times greater than at Chernobyl Accident

 元スイス大使の村田光平氏は、3月22日の参議院予算委員会の公聴会で、福島第一原発事故について話すよう求められました。

村田光平・元スイス大使

 委員会で、村田・元大使は、地上30mのところにある使用済み燃料プールに1535本の燃料棒が冷却されている、すでに壊滅状態となっている4号機建屋が崩壊した場合、敷地内にある6つの原子炉すべてがシャットダウンするだけでなく、4号機建屋から50m離れた場所にある6375本の燃料棒が収納されている共用の使用済み燃料プールにも影響を与えることになると、強く訴えました。

 4号機の使用済み燃料プールの燃料棒も、共用プールに収められている燃料棒も、すでに格納容器によって保護されておらず、大気と直接触れ合っている危険な状態にあります。

 これは、私たちが過去に経験したことのない、世界的なカタストロフィーを引き起こすことになるのは確実です。

世界に対する日本の責任は、計り知れないほど重大です。

 そのような災害が起これば、今後、何世紀にもわたって、私たちすべてに影響するでしょう。

 福島第一原発にある使用済燃料の総数が、11,421 本(396+615+566+1,535+994+940+6375)であると彼は言いました。

 私は、使用済み燃料の第一人者、ロバート・アルバレス氏から驚くべき返事を受け取りました。それは以下です。

 松村昭雄氏が、元・米エネルギー省長官のシニア・アドバイザー、ロバート・アルバレス氏から受け取った手紙


最近では、福島第一原発の使用済み燃料の状況に関して、より多くの情報が知られるようになりました。

 (4号機の)使用済み燃料プールにある1535本の核燃料集合体のうち、304本の燃料集合体が未使用の状態であると私は理解しています。

1231本の燃料棒が4号機のプールで置き去りの状態にあり、それは、およそ3700万キュリーの長命の放射能(~1.4E+18ベクレル)を含んでいます。

 4号機のプールは、地上約30mの高さに設置されており、構造上のダメージを受けており、戸外に露出されています。

 もし、地震、その他の出来事によって、プールの水が排出されてしまった場合、破滅的な放射能火災が起きるでしょう。そのときには、チェルノブイリ事故のときに放出されたセシウム137の総量の、およそ10倍の量が出て来るでしょう。

 他の3つの原子炉と同様に、これを安全に取り外すことのできるインフラストラクチャーが破壊されてしまいました。

 使い切った原子炉核燃料というのは、通常の積荷のように、単純にクレーンで外に吊り上げることができないのです。

 過酷な放射線被曝、火災、爆発を防ぐために、常時、水中、または厳重にシールドされた構造物の中で、ドライ・キャスクの中に移し変える作業をしなければなりません。

 損傷を受けている福島第一原発のプールから、使用済み燃料を取り出す作業は、かつて行われたことがないわけですから、構造的な再改造を行う必要があり、これは非常に時間と手間をかけて努力しなければなりません。

それは、未知の水域で進路を決めるようなものです。

 福島第一原発の敷地で、きわめて大きな破壊があったにも関わらず、少量の使用済み燃料を保持するためのドライ・キャスクは、無傷だったようです。

 米国エネルギー省のデータによると、合計11,138本の使用済み燃料集合体は、ほぼすべてが福島第一原発のプールの中に格納されていると見られます。

 それらはおよそ3億3600万キュリーの長命の放射能(~1.2 E+19Bq)を含んでいます。

 そのうち、およそ1億3400万キュリーはセシウム137で、それは、米国放射線防護審議会(NCRP)が見積もったとおり、チェルノブイリ事故のときに放出されたセシウム137の総量の約85倍に相当します。

 福島第一原発にある全使用済み燃料には、すべての大気中核実験、チェルノブイリ、世界規模の再処理工場(~270、100万キュリーあるいは~9.9 E+18ベクレル)によって放出されたセシウム137の総量の、ほぼ半分が含まれています。

 福島第一原発のような何十年間も運転し続けている原子炉は、地球上において、最大濃度の放射能を何度か生成していることを公衆の人々が理解することは重要なことです。

 多くの読者は、福島第一原発の全使用済み燃料が、チェルノブイリ事故のときに放出されたセシウム137の総量の約85倍もの量を含んでいるということが何を意味するのか、しっかり把握できているにも関わらす、その全体像の本当の意味を理解することは難しいことが分かったと思います。

 それは世界の環境と私たちの文明を破壊するでしょう。

 これは、原子力発電所に関するロケット科学でもなければ、打ち合いの討論とは関係のないことなのです。

これは人類の生存関わることなのです。

 3月26日、27日の両日、ソウルで核セキュリティ・サミットが開催されました。

村田元スイス大使と私は、4号機原子炉の世界を破滅に導く大災害について、核セキュリティ・サミットの54ヵ国の参加者たちに知らせてくれる人を全力で見つけようとしました。

 私たちは、何人かの参加者に、この緊急の問題に対処するために、広く国際的な専門家のグループで構成される独立評価チームを編成するという考えを共有してくれるよう、お願いをしました。

 ここで、村田元スイス大使が国連事務局長パン・ギムン(潘基文)氏へ緊急メッセージを伝えるために書いた手紙をご紹介したいと思います。

 また、この手紙は、日本のリーダーである野田総理にも送られました。(総理への手紙のpdfファイル)

 村田氏は、この先例のない挑戦に取り組むためには、人類の英知を集めるべきであると、その声明の中で強調しました。

 核セキュリティ・サミットは、北朝鮮の核の問題や、テロ攻撃に対する共通の防衛手段の問題に焦点が当てられていたように思えます。

 4号機の独立評価の必要性についての訴えは、喫緊の課題とは見なされなかったようです。

 私たちは、このサミットの性質に照らして、おそらくこうなるだろうことは予測していました。

おそらく日本との外交関係に荒波を立てないよう、このデリケートな論争を生じさせないようにとの決定をしたのでしょう。

 しかしながら、私は、ほとんどの参加者が、自分たちの国に影響を与える、この潜在的な災害について、十分、理解してくれたに違いないと考えています。

 私は、日本における、この問題を押す際の村田・元大使の勇気によって心を動かされました。

 特に、私の祖国において、元キャリア官僚がこうしたことを行うことが、どれほど難しいことか分かっています。

村田光平氏の場合もそうであるように、現政府高官であろうと、元政府高官であろうと、彼らの行動は等しく制限されています。

 村田・元スイス大使から国連事務総長への送られた手紙


東京、2012年3月25日

拝啓、事務局長

尊敬すべき潘基文様

 あなたからの2012年3月2日付けの思慮深いお手紙には、心から感謝申し上げたいと存じます。

 (私たちが提唱している)国連倫理サミットに対する、あなたの精神的な支持は、私が持続的に活動を行う上で、大きな励みの源になっています。

 原子力の安全性とセキュリティを、より強く固めようとされている、あなたの素晴らしい貢献に対して、敬意を払わずにはおれません。

 ソウルで開かれる今回の核サミットが、昨年の9月に、あなたが召集した高官レベルの会議から非常に多くの収穫を得ていることは疑いのないことであります。

 私は、参議院の予算委員会の公聴会で3月22日に述べるように依頼されました。

そこで、私は重大な問題を提起しました。

それは、福島第一原発の1535本の燃料棒を抱えている4号機原子炉についてのことです。

 それは、このまま余震が続けは、致命的な破損を受ける可能性があります。

 さらに、そこから50m離れた場所には、6つの原子炉のための共用冷却プールがあり、6375本の燃料棒が収納されています。

 日本の運命、そして全世界の運命が、この4号機原子炉によって左右されると言っても過言ではありません。

このことは、これは、アーニー・ガンダーセン博士、あるいは小出裕章氏のような最も信頼できる専門家によっても確認されています。

 核セキュリティ・サミットに、福島第一原発4号機-この重大な問題を取り上げさせようと尽力されている元国連職員(管理人:松村氏のこと)によるイニシャティブについて、あなたにお伝えさせていただきたいと思います。

 彼は、独立した評価チームの設置を求めています。

 この重大な問題に、世界の指導者に注意を払っていただくことは必要不可欠なことであると考えており、それゆえ、彼の努力は非常に意義深いものであると考えております。

 この問題が、李明博大統領の個人的な注意に値するものであることを、私の韓国の知人数人に手紙を書き、彼と協力しています。

 私は今日、野田佳彦首相へ手紙を書きました。

 その中で、前述した「独立評価チーム」の設置を十分考慮しながら、福島原発4号機の問題に対処するために、最も広い範囲から人間の英知を総動員すべく、その先鞭をつけることを考慮していただくよう野田総理にお願いをいたしました。

 世界は、とても弱く、脆弱なものになりました。

国連の役割は、ますます重大になっています。

 あなたの高貴な使命において、より一層のご活躍をお祈り申し上げます。

 以上、どうぞご査証ください。

 潘基文様。

深厚の敬意を表して。