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竹を燃料とした熱電供給のバイオマスプラント開発。バンブーエナジー(熊本)とNEDO。10月から実証運転へ。2023年に事業化目指す。里山の荒廃竹林をエネルギー化(RIEF)

2019-09-02 21:57:37

Bumboo1キャプチャ

 竹エネルギーの開発を推進しているバンブーエナジー(熊本・玉名郡)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同プロジェクトとして、竹を燃料としたORC(オーガニック・ランキン・サイクル)熱電併給設備のバイオマスプラントを開発した。各地で課題となっている竹林の荒廃問題と地元エネルギー開発の両立を目指す。10月から実証運転を実施、2023年頃に事業化する予定。

 (写真は、開発したORC熱電併給設備)

 同施設では、日本各地に豊富にある竹とバーク(樹皮)を原料とし、バイオマス燃焼炉とORC熱電併給設備で熱・電気を作り出す。取り出した熱電エネルギーは、プラントに隣接する竹加工工場で最大限活用する。

 竹は日本の豊富なバイオ資源だが、燃焼時に灰が低温で溶融し、クリンカ(燃焼灰の塊)を形成するため燃焼炉を傷める原因となる課題がある。今回のORC熱電併給設備では、燃料に竹30%、バーク70%として混焼比率の最適化を図り、燃焼温度や運転モードを最適化してクリンカの発生を抑制することに成功した。設備は熊本県南関町のバンブーグループ敷地内に設置している。

バイオマス発電設備
バイオマス発電燃焼炉

 日本の風景の一つでもある竹林。だが、里山等の土地所有者の高齢化などによって野放図な竹林化が各地で進み、対策が課題となっている。バイオマス原料としての竹は、内部が空洞でエネルギー密度が低いうえ、伐採収集システムが確立されていないといった課題に加えて、クリンカ問題があった。

 バンブーエナジーとNEDOはこれまで、地域の行政、企業、大学、専門家などと協力し、地域内でのバイオマス原料としての竹や樹皮の調達からエネルギーの変換、利用までを含めたバイオマスエネルギー地域自立システムの実現可能性の検討。2017年1月から実証フェーズに移行していた。

 今回建設したプラントでは、年間約8750㌧の竹を利用する。電気出力は995kW、熱出力は6,795kW(竹加工工場への熱媒油供給2800kW、温水供給3995kW)。ORC熱電併給方式は、一般的な蒸気タービンを用いた熱電併給方式と比較し、大量の熱量を確保でき、隣接する竹加工工場での乾燥需要に応えることができる見通しだ。

Bunboo3キャプチャ

 さらに、ORC熱電併給方式は蒸気タービンの熱電併給方式と比べて、設備コストが2億円ほど低減できるという。電力を外部の小売電気事業者から購入し、また熱をA重油ボイラーで供給する場合と比べると、年間で約1万9000㌧のCO2削減につながる。

 実証実験では、乾燥などのエネルギー効率の最大化を検証する。今後、安定的なエネルギー供給体制を構築することで設備の運転・維持管理手法を確立、燃焼灰も販売して経済性を高め、ゼロエミッションの実現を目指す。実証事業後は、グループ全体で最終的に120名を超える雇用創出につなげる期待もある。

https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101181.html