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主要日本企業、ようやく消毒液やマスク製造に乗り出す。花王が消毒液生産能力20倍に、日清紡はシャツ生地転用でマスク生産へ。大企業のCSR、「迅速力に課題あり」を浮き彫りに(RIEF)

2020-04-09 23:29:46

かお1キャプチャ

 

 新型コロナウイルス感染防止で品不足が続いているマスクや消毒液の供給に、ようやく日本企業が本腰を入れ始めた。花王は、消毒液の生産能力を20倍超に引き上げると発表した。日清紡ホールディングスは、シャツの生地の製造設備を転用し、布マスク用ガーゼの生産を始めた。三井化学もマスク用不織布の生産能力を5割引き上げるなど、本業とCSRを意識した活動に踏み出した。

 

 (写真は、消毒液の生産を始めた花王の和歌山工場)

 

 花王によると、1月後半から国内市場での消毒液の需要が急増し、生産が追いつかない状態が続いている。そこで4月下旬からこれまで消毒液を製造していなかった和歌山市などの国内4工場で、新たに生産を始めて、製造力を増強する。去年と比べて20倍以上の消毒液の増産が可能になるという。

 

 当面は、病院や介護施設向けに供給し、増産能力を高めて、以後には品不足が深刻な家庭用にも供給するという。海外でもドイツで生産を始め、医療施設に無償提供する。容器不足も品薄の一因のため、花王は業務用容器や詰め替え用の生産にも乗り出した。

 

 マスクの製造では、日清紡HDはグループ会社がインドネシアで、シャツの生地の製造設備を転用し、布マスク用ガーゼの生産を始めた。5月末までにマスク200万枚分のガーゼを生産する計画で、12日にもその第一陣が日本に到着する予定だ。また、グループのワイシャツ専門店の東京シャツでは、4月9日から「綿100%形態安定マスク」を一般に販売している。

 

 三井化学は三重県四日市市の工場で不織布の生産能力を5割引き上げた。不織布は自動車部品や紙おむつ等の用途に製造している。工場の設備をフル稼働にしてマスク向けを増産している。旭化成もマスク向け不織布の国内での生産量を2倍にした。東レも主に海外で生産する不織布をマスク用に供給することを検討しているという。

 

 国内のマスクは8割が中国等からの輸入品のため、これら化学メーカーの増産・転用対策でも、品薄の解消には、まだ時間がかかるという。安倍政権が各家庭に配布する「布マスク2枚」も一時的な使用メリットはありそうだ。米国で消毒液を供給しているサントリーHDも、国内でも消毒用アルコールの供給を検討しているという。トヨタ自動車も先に、医療用フェースマスクの生産に乗り出すことを明らかにしている。http://rief-jp.org/ct4/101149

 

 主要企業が消毒液やマスクの生産に本腰を入れ始めたのは、政府が非常事態宣言を発したことを踏まえたものとみられる。しかし、コロナウイルス感染が中国で顕在化し、日本で初の感染者が出たのが1月15日とされる。ほぼ3カ月近く経てから、ようやく企業の対応が広がり始めた。

 

 社内制度としてのCSRは大企業においてはほぼ整っているが、今回のような緊急時に企業が求められるCSR活動の実践という点では、欧米企業に比べて、迅速感が乏しい。日本の大企業の多くは、形としてのCSRは整備した。だが、筆記テストには強いが、実践活動では先頭には立たず、横を見、縦を見て、先頭の後をついていく「日本型スタイル」のままともいえる。大企業のCSR部門の方々、もっと頑張ってくださいね。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200409/k10012377361000.html

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57824210Y0A400C2916M00/?n_cid=SPTMG002

https://www.nisshinbo.co.jp/news/pdf/d8463149d8657295a977326cc21fe71f8bcb111a.pdf