HOME13 原発 |中部電力。浜岡原発の再稼働のための安全対策工事を、同社の原子力部門が社内ルールを無視し10年以上も独自発注。未清算の不適切事案が20件。未精算総額は100億円の可能性も(各紙) |

中部電力。浜岡原発の再稼働のための安全対策工事を、同社の原子力部門が社内ルールを無視し10年以上も独自発注。未清算の不適切事案が20件。未精算総額は100億円の可能性も(各紙)

2025-11-28 02:36:44

スクリーンショット 2025-11-28 022840

写真は、中部電力浜岡原発=同社サイトから引用)

 

 各紙の報道によると、中部電力は27日、静岡県御前崎市の浜岡原発の安全対策工事で、同社の原子力部門が、本来の窓口となる調達部門を通さずに直接工事を業者に依頼しながら、正式な契約を結ばないまま、長期間にわたり精算もしない不適切事案が20件あったと公表した。原子力部門が「独走」し、取引先に対して少なくとも数十億円の未清算を課していたという。総額は100億円規模になる可能性もあるとしている。同社では、その責任を取り、原子力本部長の伊原一郎副社長と、同本部原子力部長の名倉孝訓執行役員が30日付で辞任する人事を発表した。同社原子力部門のガバナンスが効いていないことが明確になった。

 

 中部電力によると、20件の事案のうち判明した7件の未払い額は合計で数十億円規模になるとしている。未払い総額は精査中だが、100億円規模に達する可能性もあるという。

 

 浜岡原発は2011年3月の東日本大震災の発生を受けて、同年に運転を停止した。その後、同社は同原発の再稼働に向けて、自主的な安全性向上対策を進めてきたが、2013年に原子力規制委員会が導入した新規制基準に対応するには、当初、自主的に取り組んでいた工事の内容を変更する必要に迫られた。

 

 同社の社内ルールでは、そうした場合の工事の再発注等については、調達部門が費用の妥当性を精査したうえで、取引先と工事の変更契約を結ぶ手順と定めている。しかし、同社の原子力部門は、工事内容の変更作業等の発注について調達部門を通さずに、同部門が自ら直接工事を取引先の業者に依頼していたという。

 

 原子力部門が自ら発注した工事は、2013~19年の間で20件に上る。このうち、少なくとも7件の工事発注分で、合計数十億円規模が未精算になっているという。調達部門を通した工事でないことから、原子力部門には支払い能力がないためだ。同工事を請け負った取引先企業からは、2019年以降に契約変更や精算を求められた。だが、原子力部門の責任者はその都度、工事への対応や支払いの手続き等を先送りし、同社の取締役会にも報告していなかった、としている。

 

 その後、工事の新規契約は2017年以降止まっている。規制委が行う新規制基準の適合性審査の内容を見定める必要があるとして、新たな投資を止めたためとしている。10年以上も前の2013年前後から、原子力部門でこうした「独自の工事発注」や、清算の棚上げといった措置をとっていながら、これまで判明しなかったのはなぜなのか、あるいは、わかっていながら、経営層も「放置」していたのか、など疑問点が少なくない。

 

 原子力部門の責任者の伊原氏と名倉氏は、今回の問題に対する社内の調査に対して「新規制基準の適合性審査が順調に進んでいない状況のなか、追加の予算を上げることは取締役会等で承認されないだろうと判断し、報告を先送りしていた」との趣旨の説明をしているという。また27日の記者会見で、佐々木敏春副社長は「工事が膨大になる中で、早く仕上げなければという工程プレッシャーがあり、契約変更の手続きにかかる時間を省いてしまった」と説明したとしている。「子どもの言い訳」のような説明だ。

 

 原発の安全対策対応で、中部電力は、高浜原発など3原発の再稼働を実施した関西電力や、玄海原発や川内原発の再稼働を実現した九州電力等に比べて、浜岡原発の再稼働のメドが立たないことから、担当者に焦りがあったとの見方もある。同原発は南海トラフ地震対応で想定される津波対策の防潮堤のかさ上げ工事も残っており、かさ上げ工事の工期・費用はまだ判明していない。

 

 しかし、だからといって、原発部門が工事発注で独走して、取引事業者に迷惑をかけ、結果として工事も途中で止まったままという事態に陥っていることが、許されるはずもない。同社の「場当たり的」なガバナンスが10年も続いていたことは、原発を運営する企業としての信頼性の危うさを浮き彫りにするものだ。

 

 林欣吾社長は27日に開いた記者会見で、「一日でも早く内部統制システムおよびガバナンスを機能させ、ステークホルダーの皆様から信頼される経営をする」と述べたという。しかし、担当副社長らの辞任で幕を引き、CEOとしての経営責任については触れていないようだ。こういう経営者の下で原発再稼働のガバナンスが機能するのかどうか。規制委も「規制機関」としての責任を厳格に果たすことが求められていることを忘れてはならない。

                          (YF)

https://www.chuden.co.jp/publicity/press/1217105_3273.html