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巨額借り入れ、昨年7月には把握 大王製紙の監査法人(FGW)

2011-10-30 00:44:28

報道各紙によると、大王製紙の創業家出身で前会長の井川意高氏による巨額借り入れ問題で、同社の会計監査人のトーマツが昨年7月に子会社から前会長への貸し付けを把握していたことがわかった。しかし、同監査法人は調査を徹底して実施しなかったことから、問題の拡大を阻止できなかった。


外部の弁護士などで構成する大王製紙の特別調査委員会が28日公表した調査報告書によると、「貸し付けの繰り返しを監査法人が把握していながら、拡大を防げなかったことは問題で、監査法人に対して適正な監査の実施を強く要求すべきだ」との趣旨を指摘している。会社法によると、会計監査人は会計書類の監査のほか、取締役の不正行為を発見した時には社内の監査役会への報告を義務付けられている。

 さらに報告書は、前会長の借入は、同社の連結子会社7社などから昨年5月~今年9月に計26回にわたって実施されており、総額約106億8000万円、借入には担保はとられていなかった。トーマツは昨年7月末、子会社から大王製紙経理部に送付された取引情報から、前会長への不正貸し付けが存在することを知った。

 同監査法人は、経理部に貸し付けの使途について尋ねたが、特定しないままにとどめ、その後も貸付額が膨らんでいく過程を把握したが、監査役会や会計監査人連絡会等で事実関係を明らかにするなどの対応をとらなかった。さらに、本社の監査の一環で、貸し付けていた子会社への監査を実施した際も、貸し付け担当者から事情を聴くなどの措置をとってこなかったという。