HOME |中西経団連会長(日立会長)、「(既存原発の)再稼働をどんどんやるべき」。日立の英原発輸出問題では「国民が反対するものは作れない」と述べたが180度転換。ご都合主義のようだ(各紙) |

中西経団連会長(日立会長)、「(既存原発の)再稼働をどんどんやるべき」。日立の英原発輸出問題では「国民が反対するものは作れない」と述べたが180度転換。ご都合主義のようだ(各紙)

2019-01-16 00:29:28

nakanishi1キャプチャ

 各紙の報道によると、経団連中西宏明会長(日立製作所会長)は15日の会見で、東京電力福島第一原発事故後に停止している原発について「再稼働をどんどんやるべきだと思う」と述べた。原発の新設や増設も認めるべきだとの認識を示し、エネルギー政策の在り方を巡り国民的な議論を呼び掛けた。



 中西氏は「安全について十分議論し尽くしている原発も多い。(立地、周辺)自治体が(再稼働に)イエスと言わない。これで動かせない」と強調。こうした状況の打開に向けて「(公開で)討論しないといけない」と語った。

 中西氏は、自らが所属する日立製作所が英国の原発計画の行き詰まりに直面していることを踏まえ、年初の記者会見や、報道機関とのインタビューで、政府の原発政策について「国民全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダー(設備納入業者)が無理に作ることは民主国家ではない」と、原発建設の経済性、社会性について疑問を投げかけていた。http://rief-jp.org/ct4/86082

 これまで経団連のトップは、前会長の榊原定征氏までは、「原子力は最も重要な基幹エネルギー」と位置づけ、安倍政権が進める原発再稼働推進の路線と同調してきた。中西氏の「国民が反対するものは作れない」発言は、政府主導の原発輸出戦略と一線を画する経営判断と受け止められた。

 ただ、今回の「再稼働促進」発言は、自社の経営に影響が及ぶものと、すでに過去に建設して「ベンダーとして収益を得たもの」とでは評価を180度変えるご都合主義の物言いのように聞こえる。モノづくりに携わる企業人は、製造したモノについて、廃棄処理に至るまで安全に責任を負う製造物責任の考えからみても、『経営倫理』の視点を欠いた発言と言わざるを得ない。

 日立が撤退しようとしている英国の原発計画がなぜ行き詰まったのかを考えると、東電事故後に安全対策のコストが上昇したためである。新規建設の原発の安全性コストが高まったということは、そうした安全対策の上乗せが十分ではない既存の原発は、依然、事故リスクが相対的に高いことになる。

 中西氏は「安全について議論を十分尽くしている発電所は多い」と強調したという。だが、「安全性」は議論だけでは担保できない(実際に十分議論を尽くしたとも思えない)。物理的な安全装置の強化・実証があってはじめて、理解が進む。その場合でも、事故リスクを完全にゼロにはできない。中西氏は「自治体がイエスと言わない」と批判したが、住民の安全性を守る自治体の基本姿勢として、安易に「イエス」と言わないのは当然のことだ。

 今回の発言を聞いて、やはり、日本の経団連の会長は、「国民の立場に立つ視点」は持ち合わせておらず、企業経営の実利のみを重視する近視眼的経営人の「長」であるとみるべきであるようだ。

 中西氏は、「真剣に一般公開の討論をするべきだと思う」と述べ、改めて原発についての国民討議の必要性を提起した。公開討論の場で、この国の隅々にまで原発を作り続けてきた「ベンダー企業の責任」をどうとるのか、明確に語っていただきたい。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190115-00000110-kyodonews-bus_all&fbclid=IwAR3HEpXHWIw7gJzL33VW2XnQ-CXPpOb4qxAXv_9zQB5gQuVdUlAU1ZG-0eA