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グローバル食品大手Nestlé、 2025年までに新製品の容器を100%、再利用・再生可能プラスチック化するため、「欧州プラスチック協定(EPP)」に署名(RIEF)

2020-03-09 23:24:12

Nescel1キャプチャ

 

 食品・飲料大手のNestlé は、同社の欧州市場での商品・サービスでの使用容器等を、2025年までに新製品の容器を100%再利用・再生可能な製品に切り替えるため、「欧州プラスチック協定(European Plastic Pact:EPP)に署名した。Nestlé は英国拠点で独自のプラスチック削減を推進しており、その活動を欧州全体に広げる形で、EPPに参加する。ビジネス全体の「脱プラスチック」を推進することで、サーキュラー・エコノミーへの貢献を目指す。

 

 NestléのUKとIrelandは、2000年に設立された廃棄物対策の産業連携組織「WRAP(Waste and Resources Action Programme)」に2018年に参加。選考する形で、廃プラ削減、サーキュラー・エコノミー化推進に取り組んでいる。このWRAPの取り組みをEPPに拡大することになる。政治的には英国はEUから離脱するが、Nestléの脱プラ戦略は、英国発でEUと統合・拡大することになる。

 

 EPPはフランスとオランダが主導して企業やNGOらが賛同、サーキュラーエコノミーの推進を目指している。2025年までに、使用するプラスチック製品・容器を最小20%削減、使用済みプラスチックの回収・リサイクル率を最小25%まで引き上げ、容器プラスチックを平均的に最小30%まで引き上げる等の目標を掲げている。

 

EPPキャプチャ

 

 Nestléの欧州・中東・アフリカ担当のCEO、Marco Settembri氏は「欧州の協定に署名したことを嬉しく思う。われわれの共同の目標は、欧州全域でプラスチックの回収・分類・リサイクルするスキームを創り出すことだ。すでに欧州で販売するミネラルウォーターのVittelのペットボトルはすべて再生ボトルで作られている。将来は他のすべての製品の容器に広げたい」と述べている。

 

 容器の再生・再利用だけではなく、Nestléは最優先課題として製品の安全性を位置付けている。食品容器に使用されるプラスチックは人の健康に害を与えない「食品グレード」を得る必要がある。再生・再利用プラスチックも、単に再生・再利用のではなく、この「食品グレード」に適合したリサイクルプラスチックである必要がある。従ってリサイクル過程の改善も目指している。

 

飲料用のペットボトルは海洋プラスチックごみの主要原因
飲料用のペットボトルは海洋プラスチックごみの主要原因

 

 Nestlé はこの食品グレード適合のリサイクルプラスチックのため15億スイスフラン(約1650億円)以上を投じると公表している。その狙いは、リサイクル事業者に対して、食品グレードを満たすリサイクルプラスチック素材へのインセンティブを高め、新たなリサイクル市場を創造する点にある。

 

 また、包装自体を簡素化、あるいは無包装とするため、ペットフード会社やNestléのインスタントコーヒーのNestlé等と協力して包装のイノベーションに取り組んでいるほか、欧州の宅配会社と再利用包装の普及を進めている。包装素材や製品の持続可能な改善・改良のため、2億5000万スイスフランを投じて、スタートアップ企業との協働も進めている。

 

 欧州全体に拡大したNestléの脱プラスチック戦略だが、ぜひ、日本市場でも展開してもらいたい。

 

https://www.nestle.com/media/news/nestle-signs-european-plastics-pact

https://www.nestle.com/sites/default/files/2020-03/nestle-signs-european-plastics-pact-pr.pdf

https://www.nestle.com/csv/global-initiatives/zero-environmental-impact/packaging-plastic-pollution