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広島県、世界遺産の宮島弥山原始林で無許可伐採。樹木33本を根っこから切り倒す。昨年10月に手続きミスで、事後に申請。これまで公表せず(各紙)

2020-06-26 13:19:16

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 各紙の報道によると、広島県は、世界遺産で天然記念物の宮島弥山原始林(廿日市市)で文化庁の許可を得ないまま、樹木33本を伐採していたことが分かった。県は文化財保護法などに基づいて保全、管理する立場にあるが、今回の伐採は同法違反の可能性がある。県は伐採を行った昨年10月下旬に違法性を認識していたが、これまで伐採の事実を公表していなかった。

 

 共同通信等が伝えた。弥山原始林は世界遺産の登録地区内にあり、国の天然記念物に指定されている。伐採したのは、宮島ロープウエーの紅葉谷駅から弥山まで続く登山ルートの近くで、世界遺産の中核ゾーン。少なくとも4カ所の合計約200㎡。アラカシやウリハダカエデ、カゴノキなどを根元から切った。

 

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 県などによると、伐採は県西部農林水産事務所が登山用歩道を修繕・改良する工事で発生した。昨年10月11日と14日、工事資材をヘリコプターで下ろすスペースを確保するために、県の担当者が建設業者に伐採を指示したという。担当者が、木の伐採は事前に申請済みと勘違いし、確認しないまま指示した可能性があるとしている。

 

 その直後、廿日市市教委に「弥山で木を切っているが許可を得ているのか」と島の住民から情報が寄せられた。同18日ごろ、廿日市市教委の連絡を受けて県が状況を把握。同21日に現場を調査し、無許可だったことが判明した。県は今年3月末、文化庁に事後申請の形で伐採の許可を求めている。

 

  伐採された木の直径は約6cm~約33cm。県は文化庁の指示を受け、伐採現場の植生復元に取り組むとしているが、回復までには少なくとも数年かかる見通し。島は文化財保護法に基づく特別史跡・特別名勝で、保護を担う県が樹木を無許可で伐採するのは異例。湯崎英彦知事が3月、謝罪文を文化庁などに提出しているが、外部には公表してこなかった。

 

原始林が「広場」のようになってしまった
原始林が「広場」のようになってしまった

 

 宮島の弥山原始林は、厳島神社とともに1996年に世界遺産に登録された。県教委の保存管理計画に基づき、枯れて道路をふさぐなどした危険な木については伐採が許可されている。一方、それ以外は厳しく規制され、枝葉を払うなどの際にも文化財保護法に基づく「現状変更」を文化庁へ申請する必要がある。

 

 広島県自然環境課の担当者は「違法行為をしたことは事実で、法を順守すべき県の立場であってはならないこと。猛省している」とする一方で、公表をしなかった点については「明確な理由はない。悪意をもって隠していたということではない」と説明しているという。

 

 弥山原始林では2008年、240カ所以上の樹木や岩に赤い塗料が吹き付けられる事件が起きている。報道では、「県が、自ら伐採を認識しながら明らかにしないのはおかしい。説明責任を果たすべきだ」との識者のコメントも紹介している。

https://www.47news.jp/news/4946235.html

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200624-00010000-chugoku-l34.view-000