HOME8.温暖化・気候変動 |ブラジル・アマゾンの森林破壊、雨季期中心の上半期でも前年同期比25%増の3049㎢。東京都の面積の1.4倍分を喪失。5月以降、乾季入りしており、森林火災増大はこれから(RIEF) |

ブラジル・アマゾンの森林破壊、雨季期中心の上半期でも前年同期比25%増の3049㎢。東京都の面積の1.4倍分を喪失。5月以降、乾季入りしており、森林火災増大はこれから(RIEF)

2020-07-17 16:09:45

Amazon001キャプチャ

 

  新型コロナウイルス感染拡大が猛威を奮い続けているブラジルで、世界最大の熱帯雨林帯のアマゾン地域の破壊も過去最高のペースで進んでいる。ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)によると、今年上半期(1~6月)アマゾンの森林破壊面積は前年同期比25%増の3069㎢となり、INPEが2015年に衛星画像データで観測を始めて以来、最大を記録した。コロナ感染に世界の関心が移る中で、アマゾン破壊は歴史的なスピードで進行している。

 

 INPEによると、上期は雨季中心なので通常は森林火災等は少ないはずだ。実際にも年初の森林消失の動きは少なかった。だが、コロナウイルス感染拡大とともに、乾季入りした5月、6月に急増に転じた。6月の森林破壊面積は、前年比約11%増の1034㎢で、同月としては過去最大の森林消失となった。前月の5月比でも24.31%増でコロナ感染増と比例する形になっている。

 

 森林破壊の主な原因には、林業の違法伐採のほか、保護地区での採掘や畜牛の大規模放牧が挙げられる。アマゾンの森林火災等は本格的な乾季となるこれから増大リスクが高まる。

 

昨年8月のアマゾン森林火災の様子
昨年8月のアマゾン森林火災の様子

 

 アマゾンでの森林破壊が広がるのは、大統領のジャイル・ボルソナロ氏が熱帯雨林地帯の開発を推進する政策をとっているためだ。だが、国際的な世論の関心が高まっていることから、同氏は乾季が始まる5月、「環境犯罪、すなわち違法な森林伐採と森林火災に対する予防と抑制の措置」としてアマゾンに軍隊を派遣して監視を強化する行動をとっている。

 

 しかし、軍隊の派遣にもかかわらず、INPEのデータをみると、アマゾンの森林破壊は今年上半期に限っても、毎月、前年比で増加している。今年の夏も最悪事態に陥りそうだ。違法伐採等を監視するスタッフの数も政府によって削減されている。

 

 ブラジルの環境保全を監視する「Brazilian Environment and Renewables Institute(IBAMA)」は、上半期だけで2300億㌦の予算を削減された。このため、各州に配置している監視官27人のうち、指名できたのは4人だけにとどまった。配置された4人もアマゾン地区には一人も派遣されていない。

 

 すでに6月中に確認された森林火災の数は2248件に上っている。これは6月の単月当たりの火災数としては過去13年間で最も多い。森林伐採に当たる違法、合法の各労働者も、消火に当たる消防関係者、現地の先住民等のいずれも、コロナ感染の危機を抱えながら、暑い夏を迎えることになるわけだ。

 

 アマゾンの熱帯雨林は、その広さは約549万㎢と日本の面積の14.5個分に相当する。地球の大気循環に資するほか、地球上でもっとも生物多様性が高いエリアの一つである。域内に居住する先住民も約100万人とされる。