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中国南部、インドシナ半島で大量発生の「黄色角竹バッタ(YSBL)」。中国プーアール茶産地で、東京ドーム1900個分を食べ尽くす。中国側はドローン2000機超で対抗(RIEF)

2020-07-29 23:34:46

YSBL001キャプチャ

 

  中国雲南省を中心に発生が広がっている「黄色角竹バッタ(Yellow-Spined Bamboo Locust:YSBL)によって、先週末まで、中国国内ではプーアール茶で有名な普洱(プーアル)市など3都市で、合計8900ha(東京ドーム約1900個分)の畑等が食い尽くされたという。中国当局は4000以上のドローンを使って殺虫剤を散布するほか、人力を動員してのバッタ退治に奔走しており、現在のところ「コントロールしている」という。

 

 CCTVなどの報道によると、中国南部からインドシナ半島のラオス、ベトナム北部等を跋扈しているバッタは、昨年後半からアフリカ、中東、インド・パキスタンと広範囲にわたって増殖を続けているサバクトビバッタ(Desert locust)とは種類が異なる。色は黄色っぽく、角が生えて、主食は竹。http://rief-jp.org/ct12/104704

 

 雲南省には、6月後半にラオス北部のポンサーリーから国境を超えて侵入したとされる。雲南省では普洱市のほか、シーサンパンナタイ自治州、紅ハニ族イ族自治州の3地域で、これまでに合計8900haの農地、茶畑、竹林、森林等がダメージを受けたという。

 

ドローンが殺虫剤を絨毯散布
ドローンが殺虫剤を絨毯散布

 

 プーアール茶の産地でもあるJiangcheng地区では、バッタたちが多方面から重なるように飛び交い、周辺の竹林や植林地の食害が拡大している。とうもろこし畑は全滅し、穀物やプランテイン等も食い散らかされた。多くの農夫たちは、これまでの経験から、バッタの襲来は夏を越し、9月まで続くとみている。

 

 アフリカからインドまでを席捲しているサバクトビバッタは一日に150kmも異動することで知られる。これに対してYSBLは、それほど長距離飛行はしないほか、産卵も年に1回。サバクトビバッタは年間5回も6回もするという。http://rief-jp.org/ct12/103270?ctid=65

 

 こうしたバッタの習性を踏まえて、人間の側の対抗措置もこれまでのところ、一定の抑制効果を発揮しているようだ。中国雲南省の農業当局は、ドローンを大量投入して殺虫剤を投与しているほか、バッタの発生源を断つため、ラオス等との協力体制も強化しているという。

 

トウモロコシ畑も集中食害に
トウモロコシ畑も集中食害に

 

 中国、インドシナ半島でのYSBLの大量発生は、サバクトビバッタと同様、温暖化の影響が大きい。バッタは冬季間は土中で卵のまま過ごすが、土地が凍ると多くが死んでしまう。ところが、昨年来の冬は暖かい日が多く、卵はほとんど凍らず、さらに春の訪れが早く乾燥が続いたことで、孵化が一気に進んで大量発生につながったとみられる。今年後半も暖かい日が続くことで、今回の襲来を抑制できても、早くも来年にも同様の大量発生が起きる懸念が出ている。

 

https://news.cgtn.com/news/2020-07-22/Battle-against-locust-invasion-underway-in-SW-China-SkE0xK7eak/index.html