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中国系企業、日本国内の太陽光発電事業で、約30億円の所得隠し。福岡・東京両国税局が摘発。太陽光パネルの内外価格差を悪用(各紙)

2020-12-08 14:41:39

asahi001キャプチャ

 

 各紙の報道によると、日本国内で太陽光発電事業を手がける中国の貿易会社とグループ会社の計5社が、福岡、東京の両国税局の税務調査を受け、2018年までの4年間で計約30億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。重加算税を含めた法人税などの追徴課税は計約6億円。5社はいずれも修正申告などに応じたとしている。

 

 (写真は、グループが経営する太陽光発電施設=福岡県朝倉市、朝日新聞から)

 

 朝日新聞が伝えた。5社は、中国・上海の貿易会社「上海猛禽科技(シャンハイマーチャントテク)」のほか、「宗像総合開発」、「朝日国際」、「MERCHANT ENERGY第五」(いずれも福岡市)、「MERCHANT ENERGY第二」(静岡市)。中国人男性1人が5社を実質的に経営していた。

 

 報道によると、上海猛禽科技は中国で調達した割安の太陽光パネルを、日本の支店を通じて他の4社に提供していた。4社は西日本を中心に太陽光発電所を設置、売電収入などを得たが、経費を水増しして収益を圧縮するなどの手法で、課税額を少なく申告していた。

 

 グループは、設置した太陽光発電による電力を、経済産業省が所管する再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)によって売却、売電収入を確定させる一方で、中国国内から仕入れた経費を水増ししていたとされる。国税当局は、上海猛禽科技は日本国内で事業を行っている実態があり、その日本支店は課税対象の「恒久的施設」に当たると認定したとみられる。

 

 たとえば、摘発された4社のうち、朝日国際は、上海猛禽科技からの借入金の返済を、同社からの太陽光パネルの仕入れと偽って経費を水増ししていたという。宗像総合開発も、発電所を別会社に売却した売り上げを除外していた。残る2社も、収入を除外したり、経費の過大計上等を指摘されたという。

 

 経営者の中国人男性は朝日新聞の取材に対し、代理人を通じて「修正申告は済ませ、全額を納付した」とコメントしたと報じられている。

 

 同グループは、高齢者中心の農村で広がる耕作放棄地等を借りて太陽光発電所を建設、事業を拡大していた。中国製の太陽光パネルは、大量生産で供給過剰状態にあり、格安での仕入れが可能。内外の価格差を利用できるほか、日本の税務当局が中国での仕入れ調査がしづらい点を考慮した可能性もある。

 

https://digital.asahi.com/articles/ASND75SV8ND1UTIL00F.html?_requesturl=articles%2FASND75SV8ND1UTIL00F.html&pn=10