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温暖化の影響でカエル特有の感染症が拡大、グローバルにカエルの生存が危機に瀕している。国際自然保護連合が警告。中米のカエル3種が新たに「絶滅(EX)」分類(RIEF)

2020-12-14 22:27:54

flogキャプチャ

 

 グローバルに、カエルが気候変動で危機に瀕しているという。国際自然保護連合(IUCN)は、絶滅危惧種をまとめた「レッドリスト(Red List)」を更新、中米に生息するカエル3種など、31種の生物を新たに「絶滅(EX)」に分類した。特にカエルは、気候変動により真菌感染の拡大が加速しており、今後さらに多くの種が絶滅する恐れが高いと指摘している。

 

 次いで、「深刻な危機・絶滅した可能性」に分類された中南米のカエル22種は、真菌のツボカビが引き起こすカエルツボカビ症が主要因となり、個体数が大幅に減少した。カエルツボカビは真菌・ツボカビ門の1種で、両生類の体表にあるケラチンなどを栄養にしていると考えられている。

 

 ツボカビは、環境中に広く存在する分解者。そのうちのカエルツボカビは、脊椎動物に寄生する唯一の菌で、両生類のみに感染する。カエル等の両生類に寄生して増殖、感染したカエル等は早ければ1週間程度で死亡する。種によっては90%の高い致死率を示すことなどが知られている。

 

 カエルツボカビは、温暖化の影響でその繁殖範囲が広がっているとされる。また人間がペットとしてカエルを移動させることも拡散につながっていると指摘されている。カエルツボカビが侵入したパナマやオーストラリアでは、急速に感染が広がって現地のカエルが絶滅や急激な個体数減少に追い込まれたほか、欧米でも感染個体が広がっているという。

 

 ただ、生態系保護の努力で絶滅から回復したカエルもいる。メキシコ固有のカエルで深刻な危機(CR)に分類されていたOaxaca Treefrog(オアハカアオガエル)は、1984年以降見られなくなっていた。だが、地域コミュニティの保護活動の結果、「 Near Threatened(生存が脅かされていることに近い)」にまで回復した。

 

 最新版レッドリストで新たに「絶滅(EX)」に分類されたのは、計31種。この中には、フィリピンのラナオ湖固有の淡水魚15種が含まれる。ラナオ湖には17種の固有淡水魚が生息していたが、残る2種も「深刻な危機(CR)・絶滅した可能性」に分類された。主要な要因は、約50年前に湖に持ち込まれた外来種の肉食魚によるとされる。

 

 ブラジルのアマゾン川に生息するコビトイルカが「危機(EN)」に分類され、これにより世界の淡水イルカ全種が絶滅危惧種となった。プラス面では、ヨーロッパバイソンが個体数を回復するなど、いくつかの種で前向きな保全成果が出た事例もあるが、世界全体では絶滅種が増加している。

https://www.iucn.org/news/species/202012/european-bison-recovering-31-species-declared-extinct-iucn-red-list

https://www.afpbb.com/articles/-/3320878

https://www.nies.go.jp/kanko/news/26/26-3/26-3-04.html