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JFEエンジニアリング、使用済み紙おむつをリサイクルして燃料化する実証設備を新潟・十日町市で完成。「廃棄おむつ」が再エネ燃料として、高齢者を温める(RIEF)

2020-12-24 18:18:15

JFE003キャプチャ

 

 JFEエンジニアリングは23日、新潟県十日町市で、高齢者施設から排出される使用済み紙おむつをリサイクルして燃料化する実証設備を完成させた、と発表した。使用済み紙おむつの廃棄量は現在、一般廃棄物重量の約4%。今後、高齢者の増加により、2030年には6%以上になる見通し。これをリサイクルすることで、可燃ごみの排出量削減するとともに、衛生的に処理後、燃料ペレットに加工し、再エネ燃料として活用する。

 

 完成した設備は、余熱利用設備、ペレット燃料化装置、給湯ボイラーのエンジニアリングおよび設置工事からなる。「十日町市使用済み紙おむつ燃料化実証施設設備」。

 

使用済みおむつ処理事業の契約式の模様。㊨が十日町市市長。㊧は施設事業者
使用済みおむつ処理事業の契約式の模様。㊨が関口十日町市長。㊧は施設事業者

 

 同市内の高齢者施設から排出される紙おむつを、市のごみ焼却施設のエコクリーンセンターで発生する余熱を利用して、乾燥、滅菌をして衛生処理をする。その後、地元の製材所から出る、おが屑(粉)を混ぜて2cmほどの大きさの燃料ペレットに加工する。ペレットは、おむつの排出元となる高齢者施設の給湯ボイラーの燃料に使用する。

 

 ペレットの製造処理機は最大で1日当たり600kgの紙おむつの受け入れ能力があるという。混合するおが粉は年間35㌧、燃料ペレットは約90㌧を製造する。おむつの「廃棄物」が、ボイラーの「燃料」となり、施設内の高齢者の安心を支えることになる。

 

使用済みおむつリサイクルの仕組み
使用済みおむつリサイクルの仕組み

 

 JFEエンジニアリングは、紙おむつ燃料化装置を企画・販売するスーパー・フェイズ(鳥取県西伯郡伯耆町)、チヨダマシナリー(埼玉県北葛飾郡杉戸町)、十日町市と共同で今回のプロジェクトを進めた。今後も同市を除く3社と協働して、この方式を他の自治体や高齢者施設等に向けて提供していく考えだ。

 

 使用済み紙おむつの処理については、2020年3月、環境省のガイドラインで、各自治体でのリサイクルが推奨されている。今回採用した燃料化装置は、同ガイドラインで例示された4種の再生利用方式のひとつである「破砕・発酵・乾燥処理による燃料製造」方式に適合する。

 

 同方式では、すでに鳥取県伯耆町など、全国5か所で導入実績はある。ただし、清掃工場の余熱を利用してリサイクルを展開させるシステム化は今回が全国初となる。

https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20201223.html